京都府議会 > 2017-06-01 >
平成29年議会運営委員会理事会6月定例会[ 別紙 ]
平成29年議会運営委員会6月定例会 本文
平成29年議会運営委員会6月定例会 次第
平成29年6月定例会(第3号) 名簿・議事日程
平成29年6月定例会(第1号)  本文
平成29年府民生活・厚生常任委員会及び予算特別委員会府民生活・厚生分科会6月定例会1日目[ 参考資料 ]
平成29年文化・教育常任委員会及び予算特別委員会文化・教育分科会6月定例会1日目[ 配付資料 ]
平成29年文化・教育常任委員会及び予算特別委員会文化・教育分科会6月定例会1日目 本文
平成29年府民生活・厚生常任委員会及び予算特別委員会府民生活・厚生分科会6月定例会1日目[ 配付資料 ]
平成29年府民生活・厚生常任委員会及び予算特別委員会府民生活・厚生分科会6月定例会1日目 本文
平成29年6月定例会(第3号)  本文
平成29年議会運営委員会6月定例会 表紙
平成29年文化・教育常任委員会及び予算特別委員会文化・教育分科会6月定例会1日目 表紙
平成29年子どもの健やかな育みに関する特別委員会6月定例会 本文
平成29年子どもの健やかな育みに関する特別委員会6月定例会 次第
平成29年エネルギー政策特別委員会6月定例会 本文
平成29年エネルギー政策特別委員会6月定例会 次第
平成29年6月定例会[巻末掲載文書(目次)]
平成29年環境・建設交通常任委員会及び予算特別委員会環境・建設交通分科会6月定例会1日目[ 参考資料 ]
平成29年環境・建設交通常任委員会及び予算特別委員会環境・建設交通分科会6月定例会1日目[ 配付資料 ]
平成29年総務・警察常任委員会及び予算特別委員会総務・警察分科会6月定例会1日目 本文
平成29年総務・警察常任委員会及び予算特別委員会総務・警察分科会6月定例会1日目 次第
平成29年農商工労働常任委員会及び予算特別委員会農商工労働分科会6月定例会1日目 本文
平成29年環境・建設交通常任委員会及び予算特別委員会環境・建設交通分科会6月定例会1日目 本文
平成29年環境・建設交通常任委員会及び予算特別委員会環境・建設交通分科会6月定例会1日目 次第
平成29年総務・警察常任委員会及び予算特別委員会総務・警察分科会6月定例会1日目 表紙
平成29年農商工労働常任委員会及び予算特別委員会農商工労働分科会6月定例会1日目 表紙
平成29年文化・教育常任委員会及び予算特別委員会文化・教育分科会6月定例会1日目[ 参考資料 ]
平成29年環境・建設交通常任委員会及び予算特別委員会環境・建設交通分科会6月定例会1日目 表紙
平成29年文化・教育常任委員会及び予算特別委員会文化・教育分科会6月定例会1日目 次第
平成29年府民生活・厚生常任委員会及び予算特別委員会府民生活・厚生分科会6月定例会1日目 次第
平成29年議会運営委員会6月定例会 表紙
平成29年議会運営委員会6月定例会[ 別紙 ]
平成29年京都府行政の今後のあり方に関する特別委員会6月定例会 表紙
平成29年高齢社会の安心・安全対策特別委員会6月定例会 表紙
平成29年議会運営委員会6月定例会 本文
平成29年農商工労働常任委員会及び予算特別委員会農商工労働分科会6月定例会1日目 次第
平成29年子どもの健やかな育みに関する特別委員会6月定例会[ 参考資料 ]
平成29年子どもの健やかな育みに関する特別委員会6月定例会[ 配付資料 ]
平成29年エネルギー政策特別委員会6月定例会[ 参考資料 ]
平成29年エネルギー政策特別委員会6月定例会[ 配付資料 ]
平成29年議会運営委員会6月定例会 次第
平成29年議会運営委員会6月定例会 表紙
平成29年スポーツ振興特別委員会6月定例会[ 参考資料 ]
平成29年スポーツ振興特別委員会6月定例会[ 配付資料 ]
平成29年議会運営委員会理事会6月定例会 次第
平成29年京都府行政の今後のあり方に関する特別委員会6月定例会[ 配付資料 ]
平成29年京都府行政の今後のあり方に関する特別委員会6月定例会 本文
平成29年高齢社会の安心・安全対策特別委員会6月定例会[ 配付資料 ]
平成29年高齢社会の安心・安全対策特別委員会6月定例会 本文
平成29年議会運営委員会6月定例会[ 別紙 ]
平成29年議会運営委員会理事会6月定例会 表紙
平成29年京都府行政の今後のあり方に関する特別委員会6月定例会 次第
平成29年高齢社会の安心・安全対策特別委員会6月定例会 次第
平成29年6月定例会(第7号)  本文
平成29年スポーツ振興特別委員会6月定例会 本文
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平成29年議会運営委員会理事会6月定例会[ 別紙 ]
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平成29年子どもの健やかな育みに関する特別委員会6月定例会 表紙
平成29年議会運営委員会理事会6月定例会[ 別紙 ]
平成29年エネルギー政策特別委員会6月定例会 表紙
平成29年京都府行政の今後のあり方に関する特別委員会6月定例会[ 参考資料 ]
平成29年6月定例会(第7号) 名簿・議事日程
平成29年スポーツ振興特別委員会6月定例会 表紙
平成29年高齢社会の安心・安全対策特別委員会6月定例会[ 参考資料 ]
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平成29年議会運営委員会理事会6月定例会 表紙
平成29年議会運営委員会理事会6月定例会 本文
平成29年6月定例会(第2号)  本文
平成29年6月定例会(第2号) 名簿・議事日程
平成29年議会運営委員会6月定例会 本文
平成29年議会運営委員会6月定例会 次第
平成29年6月定例会(第6号)  本文
平成29年6月定例会 目次
平成29年議会運営委員会6月定例会[ 別紙 ]
平成29年6月定例会(第5号)  本文
平成29年6月定例会(第4号)  本文
平成29年6月定例会(第4号) 名簿・議事日程
平成29年6月定例会(第1号) 名簿・議事日程
平成29年議会運営委員会理事会6月定例会 次第
平成29年議会運営委員会理事会6月定例会 表紙
平成29年議会運営委員会6月定例会 表紙
平成29年議会運営委員会6月定例会[ 別紙 ]
平成29年議会運営委員会6月定例会 次第
平成29年議会運営委員会6月定例会 表紙
平成29年府民生活・厚生常任委員会及び予算特別委員会府民生活・厚生分科会6月定例会1日目 表紙
平成29年6月定例会(第6号) 名簿・議事日程
平成29年総務・警察常任委員会及び予算特別委員会総務・警察分科会6月定例会1日目[ 参考資料 ]
平成29年総務・警察常任委員会及び予算特別委員会総務・警察分科会6月定例会1日目[ 配付資料 ]
平成29年農商工労働常任委員会及び予算特別委員会農商工労働分科会6月定例会1日目[ 参考資料 ]
平成29年農商工労働常任委員会及び予算特別委員会農商工労働分科会6月定例会1日目[ 配付資料 ]
平成29年6月定例会(第5号) 名簿・議事日程
平成29年議会運営委員会理事会6月定例会 本文
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     一方で、障がいをお持ちの方もその特性に合った就労場所がまだまだ十分ではないかとも考えています。例えば、知的障がいをお持ちの方、精神障がいの方などは、画一的な作業やスケジュールに沿った作業が苦手な方もおられ、それぞれの特性に合った働き方やそれぞれの地域で住民との接点や交流の場所づくりは重要だと考えます。  本府では、京野菜や宇治茶を初めとして、全国的にも競争力のある農産物がたくさんあり、福祉的な側面と農業分野との連携を進めることは共生社会の実現の一つの方策とも言えます。これまでの障がいをお持ちの方の就労支援としては、障害者雇用促進法、障害者総合支援法などに基づき、各企業への雇用促進や福祉分野での就労訓練、教育分野での職業教育などを実施してきましたが、本府では、本年5月26日に京都式農福連携を進めるため「きょうと農福連携センター」を立ち上げられました。同センターでは、農業と福祉の連携に取り組む福祉事業所に対し、ハード面、ソフト面の財政支援や農産物の生産や加工に関する助言の支援を行うこととされております。さらに与謝野町の「リフレかやの里」や京田辺市の「さんさん山城」をサテライト拠点に指定し、重層的な支援に取り組むこととされており、大いに期待するものであります。  こうした施策の背景には、共同作業所として事業を実施してきた障がいのある方の就労施設が多くあり、地域との共生・協働を進める素地があることが推測されます。また、農業分野での作業の内容やペースが個人の能力や適性に合わせやすく、障がいをお持ちの方の活躍の場としても新たな可能性が見出せるとともに、高齢化に伴う独居または高齢者のみ世帯の増加や核家族化などによる地域コミュニティの希薄化といった地域課題に対して農福連携を通じて地域の高齢者の方に食事をお配りしたり、コミュニティカフェで多世代の支援を進めたりすることで障がいのある方が支援を受ける側だけはなく、課題を抱える方たちを支える側になることも重要であると考えています。  そこで、知事にお伺いをいたします。  今回設立されました「きょうと農福連携センター」の目指すところのお考えと、これまで実施してきた「農福マルシェ」を初めとする事業との連携をどのように進めようとされているのか、お聞かせいただきたいと思います。 4: ◯議長村田正治君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 5: ◯知事山田啓二君) 平井議員の御質問にお答えいたします。  平井議員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして、今回の補正予算案に対しまして高い評価をいただき、厚くお礼を申し上げます。  共生社会の実現に向けた取り組みについてでありますけれども、子どもの貧困対策につきましては、生活保護世帯や生活困窮世帯等が増加している厳しい現状を踏まえ、御指摘にありましたように、平成27年に「子どもの貧困対策推進計画」を全国に先駆け策定いたし、今、さまざまな取り組みを進めているところであります。その中で、平成25年から実施をしております子どもの居場所づくり事業につきましては、今、府内全域に広がり、平成28年度には21カ所で実施されております。その中で、家庭的な雰囲気がしっかりとでき上がる、そしてきちんと挨拶ができるなど人とのコミュニケーションがとれるようになった、宿題等勉強も毎日するようになったといったような生活習慣や学習への意欲が得られるといった成果が見られているところであります。また、居場所づくり事業を進める中で、支援団体からは、子ども食堂に取り組みたいとか、まだまだ支援を必要とする子どもがたくさんいるといったような声も伺ったところであります。  昨年度実施しました「母子・父子世帯実態調査」におきましては、小・中学生の約40人に1人が夕食を子どもだけでとっている孤食の実態も明らかになりました。このため、今年度はNPOや自治会などの支援団体が地域での活動状況や子どもの実情に応じて支援策を選べるように総合支援メニュー化をいたしまして、「きょうとこどもの城」として、その開設や運営支援に積極的、かつ、柔軟に取り組むことにいたしました。その中で「子ども食堂」は、子どもや保護者を広く受け入れる中で、食事の提供や相談を通じて地域で気軽に集える居場所として、また課題のある子どもやその保護者を「居場所づくり事業」などの施策へつないでいく効果的な取り組みになるということで期待をしているところであります。この5月に府内3カ所で説明会を開催し、100人を超える出席がありました。6月15日時点で41件の申し込みがありまして、今後、速やかに事業を開始したいと思いますけれども、まだまだこれから開設に向け準備をしているというところもありますので、8月には追加募集もしたいなと思っているところであります。  さらに、こうした子ども食堂が地域としっかり連携できるように市町村や学校、福祉団体等関係機関とのネットワークを構築いたしますとともに、子ども食堂への食材提供に向け、食品関係団体やフードバンクなどの関係団体と現在協議を進めておりまして、府域全体で食材提供の仕組みを構築し、子ども食堂の円滑な運営につなげてまいりたいと考えているところであります。  次に、農福連携についてでありますけども、障害のある方の就労の機会を確保し、社会参加を進めていくという中で、農業というのは作業を細分化できますし、自然と触れ合う中でその人の適性に応じて力を発揮できる就労の場という可能性を秘めている。また、就労の機会の拡充という福祉面とともに、今、農業に携わる人材が不足しておりますので、農業面からも期待されるということがあると思います。さらに、農業の特性として、地域に密着した産業ということが言えると思いますので、ともすれば、閉じこもりがちになります障害者の方々と地域コミュニティがお互いに交流することによって、まさに共生社会への道が開かれるのではないかということも期待をしているところであります。そして、こうした取り組みを単なるスポットで終わらせるのではなくて、京都府全体に波及させるために府庁内にきょうと農福連携センターを設置いたしますとともに、南北のサテライト拠点を指定するという形で、全国に先駆け、農福連携に本格的に取り組んでいきたいと考えているところであります。  これまでから京都府では、京野菜などの農作物の加工品やお惣菜、宇治茶を使ったお菓子など、就労支援として地域で販売してきた実績もありまして、それを踏まえて、平成27年11月には全国で初めて地方開催となります「農福連携マルシェ」も府庁内で開催をしておりますので、こうした形を通じて、これから私どもとしましては、農福連携についてもさまざまなことができるのではないかなというふうに考えているところであります。  これから、財政支援ですとか、専門家の派遣ですとか、さらには農福連携キャリアパス制度の導入等の取り組みを進めますとともに、つくるところから販売までの一貫した支援を行うことによって障害者の人たちがお互いに地域とつながり合い、その中でそれぞれが生きがいを持って暮らすことのできる地域づくりに向かって歩みを進めてまいりたいと考えているところであります。 6: ◯議長村田正治君) 平井斉己君。    〔平井斉己君登壇〕 7: ◯平井斉己君 御答弁をいただきました。ありがとうございます。まず、きょうとこどもの城づくり事業についてでありますけれども、知事に御答弁いただきましたように、積極的に居場所づくりをまず展開をしてきた、この実績の中で、やはり子ども食堂の必要性、あるいはフードバンクというものの発想が出てきたと思います。現在40近くの施設、今年度は41施設ということですけれども、さらにまだ追加募集をしていただけるということであります。たとえ41施設が50施設になったとしても、それで府内全域が充足しているというのはなかなか言い切れないと思います。実は、私の地元でも子ども居場所づくりを、大学がすぐ近くにありますので学生のボランティアの人たちにもかかわっていただいて、子どもたちにより近いお兄さん、お姉さんがかかわり、そして地域の人たちがそこで、もちろん学習面のサポートやいろんな話をさせていただいている。そのそばで見ていても、子どもたちは思っている以上に自分の課題というのを深刻に思っていると同時に、明るく接しているということの問題をどう捉えるのかということを目の当たりにしたときに、こういう居場所づくり事業は地域で連携し、それが実績としてなっているというのは非常にいいことだと思いますし、私はどんどん進めていただきたいと思います。  あわせて、子ども食堂ということで、やっぱり何とか提供したいなという中で、今まで自前でやっていたのを少し補助ができるということで大変地域の人たちも喜んでおられますし、これも進めていただきたいと思います。例えば私の地域で、子ども食堂ではないんですけれども、居場所づくりをやるときにお話を聞いたときに、実は地域のお寺さんが、自分のところにいっぱい来るものがあるから、お下がりとしてお菓子とか、どうぞ食べてくださいと。たまに提供してもらえるんです。子どもたちはそれを楽しくもらっている。これは地域の身近なフードバンクのスタートだと思います。もちろん大きい視点で、食材を集めたり、あるいは提供してもらうことも重要なんですけれども、できればこういう地域の連携が何かを結びつける、あるいは大きいお寺さんも組織でいった場合に、そこそこ皆さん、「うちもどうぞ提供しますよ」と言うけれども、少し遠くなるとそれをとりに行くこともできないというお話も聞いたので、お寺さんは一つの事例ですけれども、こういうものも生かしてもらって、大きいフードバンクをつくると同時に、地域で回せる回転の部分も御検討いただけるような視野もいただきたいと思います。  あと、農福連携の部分は、共生社会を進めていく農業分野でどういう展開ができるのかなと思っている中で今回立ち上げていただいた事業で、労働力と物と生産というものを一緒にやって提案していただいたということは、全国に先駆けて、すごくいい視点だと思います。ただ、これをどう動かしていくかということは、もちろん地域の農家の皆さんとの連携が──これはやはり農林水産を初めとする関係部局が持っているデータと、福祉施策と一緒にやるという今までにない視点なので、これも今年度初めてされるということですけれども、十分注視をさせていただきますし、さらに連携をしていただくことをお願いしたいと思います。また、専門家をどんどん派遣していただけるということでありますし、スポットもふやしていただいて、この事業がさらに進むことを私どもも願っております。  それでは、次の質問に入らせていただきます。  次に、独自施策を実施するための財源確保についてお伺いをいたします。  さきの6月9日に閣議決定されました骨太方針2017において、「地方公共団体の基金について総務省は、地方公共団体における状況を調査し、団体による基金積立金の現在高や増加幅の程度の差異を含め、その増加の背景・要因を把握・分析する」とされています。また、経済財政諮問会議に提出された民間議員による資料「地方自らの行財政改革に向けて」で、「近年増加の著しい基金について、総務省は、その現在高や増加幅が顕著な自治体を中心に、その背景・要因について、実態を把握・分析するとともに、各自治体において説明責任を果たすよう促すべき。また、国・地方を通じた財政資金の効率的配分に向けて地方財政計画への反映等の改善方策を検討すべき」として、地方自治体の基金残高総額が2015年度決算ベースで約21兆円、10年前と比較すると約7.9兆円も増加していることを問題視しており、財務省の諮問機関である財政制度等審議会においても同様の指摘がなされています。  なお、本府においては、府債管理基金を除いて増加傾向にはありませんが、府内市町村の基金残高合計は、2015年度末現在高では約1,643億円となり、10年前と比べると約196億円の増となっています。  これに対して総務省の諮問機関である地方財政審議会は、5月31日に取りまとめた審議会の意見として、「地方自治体では、それぞれの基金の設置目的に照らして、積み立ての必要性や規模などについて、議会や住民に対し一層丁寧に説明することが適当であるとし、それぞれの地方全体として基金の残高が増加していることをもって地方財政に余裕があるかのような議論や、地方自治体ごとに異なる状況を踏まえず地方の財源を圧縮するような議論は不適当である」と反論しています。そもそも地方団体の基金は、財政支出の節減に努めながら災害や税収減等への備えなど、さまざまな地域の実情に応じてその責任と自主的な判断に基づいて基金を積み立て、また取り崩しを行っているものです。したがって、近年の基金残高の累積をもって地方財政には余裕があるとして地方一般財源の総額を圧縮しようとする考え方には大きな問題を含んでいます。  一方、本府の2017年度当初予算は、円高や消費が伸び悩んでいることを背景に府税収入が減少となる警戒モードの中での予算編成でありますが、特別職や管理職の給与カット、事務事業の見直し、公共事業の重点化などの行財政改革に取り組まれて財源を捻出された上で共生社会の実現を掲げ、ソフト事業を中心に16の事業に重点投資されています。このような共生社会の実現の取り組みは、全国でも例の少ない先進的なものであり、このような施策を継続して実施することで、より実りあるものとするには恒常的な財源の確保が重要だと考えています。  そこで、お伺いいたします。  基金残高がふえていることをもって地方の一般財源を削減すべきとの意見には違和感を覚えますが、知事はどのようにお考えですか。  また、安定的な財政運営を進めるためには、歳入の根幹をなす府税収入の動向には注視すべきであります。2016年度においては、これまでの府税収入の増加傾向から減収の見通しとなり、約200億円を超える府税収入等の減額を含む2月補正予算を編成するとともに、警戒モードとして2017年度当初予算を編成されておられます。2016年度の最終的な税収の状況はいかがでしょうか。そして、府税の徴収には京都地方税機構の果たす役割がますます重要になると考えますが、これまでの取り組みの成果はいかがですか。また、今後の府税収入のさらなる確保、徴収率をさらに上げるための取り組みについてお考えをお聞かせください。  続いて、文化振興施策についてお伺いいたします。  本年4月1日に文化庁地域文化創生本部が設置され、4月3日に京都市東山区において創生本部開所式が行われ、いよいよ文化行政における地方分権がスタートしたと言えます。その経過としては、2002年に当時の故河合隼雄文化庁長官が「西の活動拠点に」と希望した長官室の京都分室が京都国立博物館内に設置され、2004年秋には文化力を生かした施策の推進の一つとして文化庁の関西移転について国に要望したことに始まり、2006年秋には文化庁の関西拠点を設置するよう要望、こうした背景の中、翌年1月には「関西元気文化圏推進・連携支援室(通称:関西分室)」が京都国立博物館内に設置されました。そして、2009年「古典の日」の制定と歴史的・文化的資源の保存・活用について要望する中で、文化庁の京都への機能移転を国へ要望することになりました。2012年には、関西分室は京都府庁旧本館内に移転し、京都府や関西広域連合等とのかかわりがさらに深まることにつながりました。  政府が2014年「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を閣議決定したことにより本格的な政府関係機関の地方移転議論が始まり、2015年3月内閣官房による政府機関移転提案募集が開始され、同年7月にオール京都で文化庁等の京都移転を推進する「文化庁等移転推進に関する協議会」、現「文化庁京都誘致協議会」が設立され、文化庁及び文化関係独立行政法人の京都移転が提案されました。その後、2016年3月に開催されました「まち・ひと・しごと創生本部」において、1)地方創生の視点から、地域の「しごと」「ひと」の好循環につながるのか、2)当該機関のミッションを踏まえ、全国を対象とした国の機関としての機能の維持・向上が期待できるのか、3)「なぜ、そこか」について移転先以外を含めた理解が得られるのか、4)地元の自治体・民間等の協力・受入体制はどうか、といった観点から検討がなされた結果、文化庁を京都に全面的に移転することを盛り込んだ政府関係機関移転基本方針が決定されました。この方針において文化庁の京都移転は、1)文化財が豊かで伝統的な文化が蓄積した京都に移転することにより、文化行政の企画立案のさらなる強化や国際発信力の向上が期待できること、2)京都に文化政策による求心力と発信力を持たせることにより、今後の我が国の観光振興の重要戦略の一つである文化財を活用した観光の強化推進が期待できること、3)グローバル化の時代、政治・経済、マスメディアが東京に一極集中する中で、地方創生のためには、地方の多様な文化への誇りの確保とその活用が求められており、文化の多様性の確保が重要であることから、地方創生の視点から見て意義は大きいとされたところであります。  そして、文化庁の京都移転に向けて、文化庁の抜本的な組織見直し、東京における事務体制の構築、移転時期・移転費用及び移転後の経常的経費への対応等を検討するために設置されました国の文化庁移転協議会では3回にわたり議論が具体的になされました。同協議会においては、これまでに、文化庁の先行移転の決定、本格移転の進め方に関する「文化庁の移転の概要について」が取りまとめられて、先行移転となる文化庁地域文化創生本部の体制や場所の決定、本格移転場所の絞り込み等が議論されてきたところであります。  先行移転として本年4月に設置されました地域文化創生本部には、本府、京都市だけではなく、関西広域連合や関西の経済界も協力していただき、38人体制でスタートしたとお聞きしております。同本部では、地方創生や経済活性化を促進する拠点形成事業や広域文化観光モデル事業を実施するとしており、つい先日の6月12日には文化庁として初めて、全国の自治体を対象にした補助金説明会がここ京都で実施されるなど、全面的な移転に向けて歩みを進めまして、今日に至っております。  昨今の議論を見ておりますと、文化庁移転については先ほど申し上げた昨年3月の政府関係機関移転基本方針で示されました地方創生の実現や国の機関としての機能の維持・向上、移転先以外の理解や地元の受け入れ体制といった観点から、国と地元が同じ目標に向かって進んでいるのか、若干不安を覚えるところもあります。  そこで知事にお伺いいたします。  文化庁地域文化創生本部が京都で立ち上がり、文化庁本体の京都移転がいよいよ本格始動する中、現段階での移転規模、移転先についての国との協議状況をお示しください。あわせて、文化庁移転により京都府が進めようとしている文化行政の推進についてのお考えもお聞かせください。  次に、地方分権改革と地方創生の観点から、一極集中是正のあり方についてお伺いいたします。  地方分権改革に関しては、1994年の地方分権の推進に関する大綱方針が閣議決定され、翌年に5年間の時限立法として地方分権推進法が成立いたしました。さらには、1999年にいわゆる地方分権一括法が施行され、国の機関として知事や市町村長に国の事務を処理させる仕組みである機関委任事務制度が廃止され、地方公共団体の処理する事務が「自治事務」と「法定受託事務」へと再構成されるとともに、地方公共団体に対する国の包括的な指揮監督権の廃止、これまでの国の関与の抜本的見直し、権限移譲、事務処理特例制度の創設などが図られました。それ以降の地方分権改革においても、国から地方、都道府県から市町村への事務・権限移譲、義務づけ・枠づけの見直しが進められ、地方分権一括法も現在第7次まで進んでおります。  この間、山田知事は京都府知事として国との関係の見直しを働きかけられ、全国知事会長に就任されてからは全国の知事の代表としてさらなる財源移譲も含めた問題に取り組んでこられました。山田知事のリーダーシップのもと全国知事会においては、地方分権に関する研究会や新しい地方税源と地方税制を考える研究会が設置され、精力的な議論がされていると伺っております。一方、人口減少や東京一極集中により地域間格差や社会格差が広がる中、地域を再生していくため、「地方創生」のかけ声のもと、それぞれの地域の実情に応じた取り組みが進められています。その中で、政府関係機関の地方移転は、一極集中是正の重要な柱と考えられているところであります。  昨年11月の全国知事会議においては、東京一極集中を是正するため、地方大学の振興などに関する緊急抜本対策として、東京23区における大学・学部の新増設の抑制、地方への大学移転促進といった画期的な内容を議決され、国の「まち・ひと・しごと創生総合戦略の改訂版」にも盛り込むこととなったとお聞きしております。  先ほど質問させていただきました文化庁の京都移転は地方創生の実現が見える形としての象徴的な出来事だと考えています。しかしながら、政治・経済の中心は依然として首都圏にあり、アンバランスな国土の構造になっております。経済性の原則を優先させるのであれば、コンパクトなエリアに人も財も集中させるのは有効な手法とも思いますが、限られた国土を最大限有効に活用するという考えとは逆行するのではないかとも考えます。東京の繁栄も地方が供給する人口により支えられている側面もあります。人口減少社会が始まった今、抜本的な対策を講じる必要があるのは自明の理であり、できない理由を並び立てて一極集中打破を絵に描いた餅にしてはいけないと思います。これらの課題を解決していくためには、京都府内だけにとどまらず、府県域を超えた取り組みも必要だと考えます。2010年12月に設立した関西広域連合においても、東京一極集中からの脱却を図るため、各地域の主体的な取り組みへの支援や国土の双眼構造への転換等を基本に、地方への移住・定住を促進し、関西圏域の持続可能な地域構造モデルの方向を明確にすることとし、人・企業・大学・政府関係機関などの地方分散の促進を国に求めるとともに、設立の狙いの一つである国の出先機関の地方移管を引き続き求めていく動きをされています。  そこで知事にお伺いいたします。  今回の文化庁京都移転を契機に、政治・経済の主な機能が現在首都圏に集中している現状を打破するために、今後どのような取り組みをするのか、御所見をお聞かせください。 8: ◯議長村田正治君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 9: ◯知事山田啓二君) まず、地方の基金残高をめぐる議論についてでありますけれども、地方自治体は国と異なって赤字地方債は原則として出せない中で、災害や地方消費税みたいに補填のない税が減少したときにどうするんだということで、基金等の取り崩しによって対応するしかないわけですから、いわばそういう不安を抱えている中でみんな頑張って行政改革を行い、さまざまな歳出削減措置を講じてやってきている。京都府の場合、御存じのとおり3年連続の災害で、これまで災害復旧や防災・減災対策、そして被災者生活再建支援など、この3年間連続の災害のために約2,000億円の予算を組んでいるんです。これが可能になったのも、今まで人件費の抑制や事務事業の見直しなど、徹底した行財政改革を行ってきたから初めて可能になっているわけです。残念ながら、これで今まで持っていた余裕が全くなくなってしまったということが言えるんですけれども、その中で、本年度は予算の警戒宣言を出さざるを得なくなってしまったんですが、そうした状況を私どもは理解をしてもらわなきゃいけないということで、5月に開催された国と地方の協議の場におきましても、かなり強く申し上げたところであります。まさに江戸時代の農民みたいに、生かさず殺さずなのかと、そういうことをやっていて本当にこの国が元気になるのか、地方創生なのかということをはっきりと申し上げてきたところであります。  ただ、こうした基金の内容につきましては、骨太の方針等でも今後精査するということになっておりまして、私はそれ自身もどうかなとは思うんですけど、一生懸命ためたお金について国が、ためたのはけしからんなどと言って精査するのはどうかと思うんですけれども、そういう方針が盛り込まれましたので、これは年末に向け、一筋縄ではいかないなと思っておりまして、これからさらに我々としましても、地方の主張というものをしっかりと言っていかなければいけないなと思っているところであります。  その中で、京都府の税収見通しについてでありますけれども、京都府では円高や消費の伸び悩み等によりまして、当初予算と比べて個人府民税で約65億円、法人関係税で約90億円の減収見込みになりまして、その中で特に痛いのが地方消費税が約60億円減収いたしました。比較的安定財源とされて、いわゆる減収補填債という形で補填がきく税ではないだけに、この地方消費税の落ち込みが、やっぱり我々にとりましては一番痛かったんじゃないかなということを思っております。税収は最終的には2,800億円程度になると思っております。  実は、本年は、通信カタログ販売等の売り上げが消費と販売の場所が違うということで除かれるということで、さらに60億円ぐらいの減収になりますので、そうした面で、私どもはさらに税源を確保し、税収をきちっと維持していかなければいけないと思っております。その面から申しますと、行革努力とともに徴収率の向上も重要でありまして、市町村の税源確保も含め、京都地方税機構の果たす役割が大変大きいと思います。この機構につきましては、高額滞納事案に対する滞納整理を積極的に進めてまいりました結果、平成27年度の徴収率は機構設立時の平成21年度に比べまして、京都府で1.3ポイント増、市町村では3.4ポイント増となっております。これは、平成28年度ベースで考えれば約90億円確保することができたということでありまして、非常に大きな成果を上げていると思いますし、平成28年度は京都府の場合にはさらに0.1ポイント増という形で98.6ポイントを見通しているところであります。  今後の税の確保につきましては、個人住民税につきましては特別徴収の推進ですとか、法人2税につきましては未申告法人の捕捉調査ですとか、徴収におきましてはインターネット公売の積極的な活用に努めるなど、これまで以上に機構や市町村と連携を密にして、公平・公正な税の徴収に努めてまいりたいというふうに考えております。また、全国知事会では国に対し一般財源の総額確保について強く求めますとともに、「新しい地方税源と地方税制を考える研究会」で新たな税収確保策の検討を進めていきたいと思っております。  特に税の機構ができるまでは、非常に小さな市町村においては税の督促すらできなかったという現状がありましたので、そうした面からも、やはりしっかりとこうした連携をしていく中でみんなが平等感を持てる、そしてその中できちっと税を配分できる、そういう社会をつくっていけたらなと思っております。  次に、文化振興施策についてでありますけれども、明治以来初めての中央省庁の移転ということで、そう簡単なものではないということが今の私の実感ですし、その点については御理解いただきたいと思います。東京におきましては非常に根強い反対論がある中で、今、慎重に内容を詰めてきておりまして、私どもが今、当初の大きな目標として取り組みを進めておりますのは2点であります。1点は、単に文化庁を移転するのではなくて、文化庁の機能強化をしなければなりませんから、その前提となる文化芸術振興基本法の改正を成立させること、そして来年に向かって必要な予算を盛り込んでいかなければなりませんので、概算要求までに文化庁の移転規模と移転先を決定していくこと、これを目標にして取り組みを進めてまいりました。この点で、最初のものは、国会ぎりぎりになりましたけれども、無事通って法律が改正されたということは大きな前進だと思っています。あとは移転規模と移転先の決定でありますけれども、先日、国への政策提案におきましても、山本地方創生担当大臣や水落文部科学副大臣、大臣は大変、文科省は今忙しい状況でありますので副大臣にお会いしてお願いをしたところであります。その中で、全面的な移転という基本方針にふさわしい移転規模、そして東京オリンピック・パラリンピックを見据えた、できる限り早期の移転、さらに独立行政法人等についても移転をということを要請したところでありまして、山本地方創生担当大臣からは、しっかりやっていくという発言もありましたし、水落副大臣からも着実に進めていきたいということで、地元の協力に感謝するというお言葉もいただいたところであります。  現在、本年8月末を目途とする本格移転の規模、場所の決定に向けて、具体的な場所、そして具体的な移転する部署を挙げて、その最終段階の協議を行っているところであります。しかし、まだ決定には至っていないので詳細はちょっと述べるわけにはまいらないと思いますけれども、来年度の概算要求に間に合わせるべく、引き続き最終的な詰めを精力的に行っていきたいと思っております。  また、文化行政の推進についてでありますけれども、先ほど申しましたように単なる移転ではなくて、文化芸術の領域を広げて新たな文化を創造・促進する、そういう機能強化とともに行っていくことによって、初めて京都移転というものが大きな意味を持つと思っております。先ほど述べた文化芸術振興基本法の一部改正におきましても基本理念で、観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業などの各関連分野における施策との有機的な連携とか生活文化の振興を図る例示として食文化が追加されているところであります。こうした文化はまさに京都府の強みだというふうに私は思っておりますので、ことし暫定文化財の登録制度を創設したように、文化財の維持・保護をさらに強化いたしますとともに、新文化行政推進プロジェクトを局内に立ち上げまして、京都の強みであるこうした食文化や映像、アニメなど、多様な文化資源をしっかりと生かせるような文化政策を推進していきたいと思っております。  まずは全国高校生伝統文化フェスティバルをことしから文化庁と共催でランクアップしますとともに、文化資源の発掘・活用を牽引するアートマネジャーの全国展開を文化庁に提案するとともに、これもこの前文科省に提案しましたけれども、京都府立大学への和食学科の創設など、これからの京都の未来をつくり上げていく文化政策を積極的に推進していきたいと考えているところであります。  次に、首都圏の集中打破の取り組みでありますけれども、地方が衰退していく一方で、東京が過密になっていく。この不均衡、バランスを取り戻すということが今大きな課題になっております。私どもは京都ビジョン2040で文化首都・京都を掲げて文化庁の移転を訴え、さらに全国知事会におきましては少子化非常事態宣言などの地方の活性化を訴え、これを地方創生につなげてまいりました。地方創生におきましては、企業の移転優遇税制とともに政府機関の移転を求め、文化庁の京都移転へとつなげてまいりました。まさに、政治経済が首都圏に集中している中で、文化という世界平和や日本のこれからの一番競争力となっていくところについて、その鍵を京都に移すことによって日本文化の継承と発展を支えて、文化で日本を牽引していくというのが私どもの大きな願いであり、狙いであります。  平成27年の国勢調査を見ましても、やっぱり東京一極集中はとどまりません。このため昨年秋に、全国知事会におきましては緊急決議を行い、御指摘のように東京23区における大学・学部の新増設抑制、地方への大学移転促進、そして地方拠点強化税制の充実を提案したところでありまして、これは国のまち・ひと・しごと創生基本方針にも盛り込んでもらったところであります。  京都府としては、さらに理化学研究所の学研都市の科学技術ハブ拠点の立地を推進しているところでありまして、こうした支援制度の創設ですとか、市町村と一体となった移住対策の強化、こうしたものに今取り組んでいるところでありまして、地方への人の流れを促進する取り組みを京都府においても、また関西広域連合においても、全国知事会においても強化をしていきたいと思っております。今議会に出しております補正予算にも地域交流のための就職支援の予算をお願いしているところであります。今後、こうした点も踏まえまして、我々、一極集中是正という大きな目的に向かって全力を挙げていけたらというふうに考えているところであります。 10: ◯議長村田正治君) 平井斉己君。    〔平井斉己君登壇〕 11: ◯平井斉己君 ありがとうございます。まず、基金についてでありますけれども、知事がおっしゃるように、今のシステムとして、やはり中央からというのですか、政府からインフラ事業も踏まえまして一定の予算をつけていただいて、もらって事業を進める。その中でさまざまな管理基金を、本当に少ない枠の中で地方は頑張って、自分たちの身銭、あるいは自分たちのいろんなものをそぐ形で積み上げてきたものを、逆に中央は今、ええもん見つけたというようなもので、これはおかしいのではないかということをお話をされていると。それはどうなのかと思うんですけども、そういう実情を実は国のほうも知りながらというのですかね、何か抑制のテーマにしてしまっているということは十分反撃をしていただきたいと思います。  いずれにしても、システムとして国からの予算、後からいろいろな形の補助金はもちろん来るんですけども、これも末代まで、あるいは子どもたちに、それを背負わせてはだめだと。今の流れとして来るものを、基金としていろんな形でシステムとしてなっているんですけど、これを何か、たくさんあるのではないかという見え方しかならないというあたりは、ひょっとすると京都府も踏まえて、我々自治体のほうも府民へのお知らせのぐあいがひょっとしたら足らないのかな、説明度が足らないのかなと思うので、難しい範疇ではあるんですけれども、そういうものをしっかりアピールして、やはり自治体も頑張っているんだということでは、さらに知事のリーダーシップをお願いしたいと思います。  文化庁移転の関係でおっしゃったように、知事が御答弁いただいたように、明治以来の大きな改革がスタートしたところなので、確かに大きな抵抗もあるでしょう。でも、始められたのは文化というキーワードと、しかも京都という地の利というのですか、これがちょうど合わさってうまいこと進んだのは現実だと思います。ただそこに、さらにいろんなテーマを乗せて、国の基本法改正も図る中で新たなテーマをつくっていくという方向性は非常にすばらしいことだと思いますし、残るは、さらなる最終調整によりどの程度の移転があり、どこの場所にするのか、規模も踏まえて多分公募が始まるんだと思います。一部メディアでは箇所を決定したような報道もされていますけれども、あの真意は私もちょっとわかりませんけれども、たとえ、そういうものになるのか、ならないかは別としても、どういう協議をするかというのはもっともっと、ちょっとここでは、きょうお知らせすることはできない範疇だと思うんですけれども、ここは知事を初めとする理事者側の皆さんも一定理解をしながら私どもも応援させてもらわなきゃならないと思っていますので、お願いをしたいと思います。  一極集中の打破ということでは、これの始まりはもちろん文化庁の移転というのが大きなキーワードになったので一定進むんだと思うんですけど、欲を言えば、もう少し踏み込んで大きい答えがいただけるかなと思ったんですけど、それはやむを得ない範疇だとしても、いずれにしても、首都圏に集中することでインフラ整備も首都圏が中心になっている。これを打破するためにさまざまな形のインフラ事業が進もうとしています。これは、知事会長としての意見ももちろんそうですけれども、やっぱり京都の一事業の知事としてそれを進めていただくことはさらなる取り組みが重要だと思いますし、なかなか難しい大きな課題だと思うんですけれども、自治体のあるべき姿は地方創生を進める意味では、さらに進めていただきたいと思いますのでよろしくお願いをしたいと思います。  それでは、次の質問に入らせていただきます。  次に、子どもの貧困対策における学力向上の取り組みについて教育長にお伺いをいたします。  貧困世帯で暮らす18歳未満の子どもの貧困率は過去最悪となっています。また、子どもがいる貧困世帯のうち、ひとり親世帯の相対的貧困率は54.6%と大人が2人以上いる世帯に比べて非常に高い水準になっています。一方で、2013年度の全国学力・学習状況調査では、小学校6年生、中学校3年生とも、要保護や準要保護家庭といった経済的に厳しい家庭の子どもの平均正答率が府全体を下回っており、また、全日制高校への進学率も低くなっています。さらに高校においても、こうした家庭の子どもは府全体と比べて中途退学が高く、大学進学率にも大きな差が見られるところであります。  ここで大変大きな問題となってくるのが貧困の連鎖の問題であります。経済的に厳しい家庭の子どもは学力が低い傾向にあり、その分、就職しても経済的に安定しないことが容易に想像されます。すると、その子どもの学力も厳しい状況に陥ってしまうというふうに、まさに貧困が親から子に受け継がれてしまっている、そんな現状があると思います。この貧困の連鎖を何としても断ち切らなければなりません。そのためには子どもに確かな学力を身につけさせ、社会的自立につなげることが重要であり、教育の果たすべき役割は非常に大きなものがあると思います。  京都府子どもの貧困対策推進計画においては、その基本的視点に、貧困が世代を超えて連鎖することのないよう、子どもの健やかな育ちを確保するためのさまざまな支援の推進が掲げられております。そして、重点施策の冒頭にもありますが、学校をプラットフォームとした総合的支援として、小学校・中学校に配置するまなび・生活アドバイザーや福祉関係の皆さんが核となり、NPOや自治会、民生児童委員などの福祉関係者により、子どもの学習・生活を支援するネットワークを構築することとされています。一口に子どもの貧困問題と申し上げても、家庭の経済状況、ひとり親であるかないか、保護者の状況、さらには子どもの学力の状況など、その内容は千差万別であり、子どもが100人いれば、100通りの課題があり、それぞれの支援が必要だと考えます。  本府教育委員会では、一人一人の子どもや家庭の状況に応じた支援を行うため、2007年度からまなび・生活アドバイザーを小学校に配置され、2009年度からは配置を中学校に拡大され、配置人数も増員してこられました。また、2015年度からは、まなび・生活アドバイザーが配置されていない学校への派遣を開始し、さらに今年度は、その派遣回数を大幅に拡充できるような予算措置をしていただいております。  そこで、教育長にお伺いいたします。  本府教育委員会では、全国に先駆けて、まなび・生活アドバイザーを学校に配置し、子どもの貧困を初めとするさまざまな課題の解決のために支援を実施していただいておりますが、こうした取り組みの意義やまなび・生活アドバイザーの方々が果たしてこられた役割についてどのようにお考えですか。  また、推進計画では、NPOや自治会、民生・児童委員といった福祉関係者によるネットワークを構築するとありますが、どのように取り組んでおられますか。今後の課題について御所見をお願いいたします。  また、重点施策の2番目にありますライフステージに応じた子どもへの支援として、学校における学習・個別支援の充実が掲げられ、小学4・5年生を対象にした個別補充学習や地域の方々の協力を得て小・中学生を対象とする地域未来塾などの事業に取り組んでおられます。そうした中で、私が大いに期待しているのが、京都式学力向上学習システムであります。これは、学力テストなどでのつまずき部分とさかのぼり復習が連動する学習計画を自動的に作成するシステムであり、一人一人の子どもに応じて弱点を克服させ、学力の向上を図ろうとするものでありますが、貧困の連鎖を断ち切るためにも有効な施策であると思います。  さらにお伺いします。このシステムの内容についてでありますが、対応する学年や教科は、具体的にどのようなものなのか。また、今年度から構築に向けて取り組むとのことですが、今後どのように進めようとされているのか、教育長の御所見をお聞かせください。 12: ◯議長村田正治君) 橋本教育長。    〔教育長橋本幸三君登壇〕 13: ◯教育長橋本幸三君) 平井議員の御質問にお答えいたします。  子どもの貧困対策における学力向上の取り組みについてでありますが、議員御指摘のとおり、家庭環境を初め、子どもたちを取り巻く状況はさまざまであり、一人一人に応じた支援や指導を行っていくことが重要であります。まなび・生活アドバイザーにつきましては、導入の当初から子どもの生活習慣の確立と学習習慣の定着を目指し、家庭訪問などを通じて子どもや保護者に寄り添いながら相談や支援を行うとともに、教員への助言や福祉関係機関と連携をした支援を行っているところであります。  このような活動によりまして、例えばネグレクト傾向にあった保護者が朝食を用意するようになって子どもが元気に登校できるようになったり、また経済的な支援を受けられるようになって高校に入学できた事例など、具体的な成果が見られるところでありまして、一人一人に応じた支援という観点から、このまなび・生活アドバイザーの活動の意義、また果たされている役割は大変大きなものがあると考えております。  NPOや福祉関係者によるネットワークの構築につきましては、現在、子育て支援や家庭教育に関係する団体が集まる会議などを教育局単位で開催する中で、NPOや福祉関係者にも参加をいただくとともに、各学校においてケアが必要と考えられる子どもへの支援について、福祉関係者を交えて検討するケース会議を実施してきたところでございます。しかしながら、貧困対策を進めていく上で、それぞれの地域の状況に応じた教育と福祉のネットワークの構築につきましてはまだ取り組みが十分ではないというふうに考えておりまして、今後は、まなび・生活アドバイザーの配置充実を図るとともに、子どもの居場所づくりや子ども食堂の運営に御尽力をいただいておりますNPOなども含めた方々との一層の連携を図るため、地域における連絡協議の場を設け、それぞれの役割を明確にしながらネットワークづくりに取り組んでまいりたいと考えております。  次に、京都式学力向上学習システムについてでありますが、これは学校現場からの発案によるものでありまして、義務教育9年間の算数、数学の内容に対応し、一人一人の児童生徒の学力状況を把握するためのテストをまず実施し、その結果によってつまずいたところまで学び直すための練習問題を提供するシステムであります。また、学習すべき事項を一覧表にした学力マップを個人別に作成することにより、つまずいたところが一目でわかり、一人一人に応じた効果的な指導が可能となるものであります。現在、小学校版のシステム構築を進めており、その試行を経た後に中学校版を完成させ、府内全域で活用していくとともに他の教科への拡大の可能性も探ってまいりたいと考えております。  府教育委員会といたしましては、今後とも、まなび・生活アドバイザーの配置の充実や学力向上学習システムを活用した指導を進めることにより、一人一人に応じた支援や指導をきめ細かく実施し、学力の向上と希望進路の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。 14: ◯議長村田正治君) 平井斉己君。    〔平井斉己君登壇〕 15: ◯平井斉己君 ありがとうございました。まなび・生活アドバイザーが各地域、学校を中心にもちろんそうですけども、退職教員の方、とりわけ校長先生を中心とした人を人選いただいて、家庭と連携をしているという成果が一方であります。また、その生活アドバイザーの資格として社会福祉士の人たちを活用いただいて中学校を中心に展開をしたのが高校にも拡充をしていただいているということなので、なかなか学校教員の多忙化もありますので、そこの視点に向かえないところが十分有効に活用されていると思いますので、さらに充足をしていただきますようにお願いをしたいと思います。  最後に、交流サイトについての質問をさせていただきます。  SNSサイトなどの交流サイトにおける性被害についての質問をいたします。最近、新聞やテレビで交流サイトがきっかけとなっている児童の性被害の記事を多く見かけるようになりました。警察庁の発表によりますと、児童買春・児童ポルノなどの犯罪に巻き込まれた18歳未満の子どもが、昨年1年間で1,736人となり、2008年に統計をとり始めて以来、最多になったとのことです。そのきっかけとなるのは、インターネット上で会員が互いに情報発信したり、匿名あるいは多人数で連絡をとり合ったりできる交流サイトやSNSサイト、掲示板などの出会い系サイトであったりコミュニティサイトの利用とのことです。保護者であれば、こういった犯罪の記事を見たとき、まず初めにどのように思われるでしょうか。ともすれば、被害に遭った児童が出会い系サイトと知りつつ金銭を得る目的を持って犯人と接触しているのではないか、また、その被害に遭った児童の保護者に対しては、どのような教育をしていたのか、正しいしつけをしていたのだろうかと考えたりしないでしょうか。しかしながら、被害に遭った児童やその保護者を直ちに責めるという結論だけではないと考えます。その交流サイトなどを利用するツールとしては、もちろんパソコンもありますが、やはり小学生から持ち出すことが多くなった携帯電話ではないかと思います。  そこで、まず携帯電話の歴史を簡単にひもときますと、1970年に開催されました大阪万博で初めて登場し、その後、技術革新をし、十数年後には今話題のお笑いタレントのネタにもなっているショルダータイプの携帯電話が開発され、その後、1995年の阪神・淡路大震災において有線インフラが壊滅的被害を受けたことから無線の強さを発揮した携帯電話が改めて見直され、一般社会への普及が一気に進むようになりました。また、そのころから各携帯電話会社によるさらなる機能強化競争が進み、今回の問題にもつながることとなるEメールやインターネット接続が可能となる携帯電話が1999年に発売され、加えて、盗撮の犯行にも使われるようなカメラ内蔵型の携帯電話も同時に発売されました。現在はさらにスマートフォンといった高機能の機器が登場し、現代社会においては、なくてはならない通信手段となっています。携帯電話の普及や進化がこうした犯罪の発生原因となることを考えますと、子ども、つまり児童に携帯電話を持たさなければこの種の犯罪に巻き込まれないとも言えますが、一方で、小学生から携帯電話を持たせるという保護者の考え方も一定理解ができます。昨今、児童が被害者となる犯罪が多発していることを懸念する保護者は、緊急時に連絡がとれることや、便利になった機能を生かして子どもの居場所を確認するなど、子どもの安全に対する配慮からではないかと推測されます。ただ、保護者による安全対策が裏目に出ているとは言えなくもなく、子どもに携帯電話を持たせるには、緊急時の連絡手段の確保ができたといったことで終わるのではなく、インターネットを利用する機会がふえている現代だからこそ、児童が交流サイト、出会い系サイトを利用しないように保護者が子どもに持たせる携帯電話にフィルタリングを施すとか、インターネットの使用状況をチェックするとかの措置が必要だとも思います。  こういった性被害は児童の心と体に大きな傷をつくり、一度できた傷を癒やすことは容易ではありません。また、この種の犯罪は、殺人や強姦、あるいは誘拐などといった重大犯罪に発展しかねないとも考えます。ただ、この手の交流サイトなどへの誘う手口も多様化する一方で、規制と監視だけでは追いつかない側面があると思います。もちろん正しくインターネットを利用する子どもの教育も必要だと思います。  そこで、警察本部長にお伺いをいたします。  本府警察本部におかれましては、こういった性被害を根絶、また加害者の摘発に向けたサイバーパトロールを強化していると伺っておりますが、府内における被害児童の推移、またコミュニティサイトにおける被害児童の状況、さらには交流サイトに起因する性犯罪等の被害に対する取り組みの3点について、本部長の御所見をお伺いいたします。 16: ◯議長村田正治君) 坂井警察本部長。    〔警察本部長坂井孝行君登壇〕 17: ◯警察本部長坂井孝行君) 平井議員の御質問にお答えいたします。  平成28年中、当府警察におきまして検挙した出会い系サイト及びコミュニティサイトの利用に起因する事件で性的被害等に遭った児童は34人でありまして、そのうちコミュニティサイトによるものが32人と9割以上を占めております。被害児童数の推移につきましては、平成26年中が18人、平成27年が35人、平成28年が34人となっております。全国的な傾向と同じく、出会い系サイト利用が減少する一方で、コミュニティサイトによるものが増加をしております。  コミュニティサイト利用に係る被害児童の状況についてでございますが、罪種別では、児童ポルノが19人、児童買春が5人、青少年健全育成条例違反が7人及び児童福祉法違反が1人となっております。このうち、最も多くを占めます児童ポルノにつきましては、通信相手の求めに応じて児童が自分の裸の画像を撮影して送信してしまうようなケースが多く認められるところでございます。また、学職別では高校生が19人、中学生が8人と、中高生が大半を占めておりますが、小学生も2人おりまして、低年齢児童にも被害が及んでおります。  なお、アクセス手段につきましては約9割がスマートフォン、最も多い利用サイトはツイッターになっております。  次に、被害防止に向けた取り組みについてでございますが、児童や保護者に対しコミュニティサイトに潜む危険性や被害の実態等について正しく理解していただくために、府の青少年課や教育関係機関等との連携によるフォーラムの開催や少年警察ボランティア等と協働した広報啓発活動を推進するとともに、警察職員、スクールサポーター、インターネット問題に知見を有するネット安心アドバイザーが連携をして防犯教室を開催するなど、被害防止のための各種対策を推進しております。
     また、携帯電話取扱店に対しては、販売時にフィルタリングに関する説明を確実に行うよう要請しておりますほか、小学生にもスマートフォンが普及し被害実態があることを踏まえ、本年4月には教育支援等を手がける公益財団法人と連携し、スマートフォンを利用し始める小学生とその保護者向けの小冊子を作成して、情報モラル、啓発活動等で活用をしております。  このほか、サイバー補導やヤングテレホン等の相談窓口を通じて被害児童の早期発見、保護に努めるとともに、被害に遭った児童に対しては臨床心理士による心のケア等の支援を積極的に行っております。  今後とも、インターネット利用に起因する児童の被害防止に向けまして取り締まりを強化するとともに、関係機関・団体等と連携した諸対策を積極的に推進してまいる所存でございます。 18: ◯議長村田正治君) 平井斉己君。    〔平井斉己君登壇〕 19: ◯平井斉己君 御答弁ありがとうございます。被害児童の推移、一定やはり増加をする、あるいは深刻化するという状況があるのも、今、御報告を聞かせていただきました。フィルタリングも正直言って、大人が設定するフィルタリングのパスワード、いとも簡単に子どもたちが外してしまえるようなパスワード、大人のレベルがそんなに高くないのかわからないんですけども、そういう状況でイタチごっこの世界にはなるんですけども、多分、被害児童も初めは軽い気持ちで入ってきて、まさかそんなに大きくなることはないだろうと思ったところ、だんだん深みにはまってしまって大きな傷がついてしまうということがあると思いますので、私も地域で少年補導活動なんかを通じてこういう取り組みもどんどんさせていただいていますけども、さらなる強化をお願いしたいと思います。  以上、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 20: ◯議長村田正治君) 次に、中川貴由君に発言を許します。中川貴由君。    〔中川貴由君登壇〕(拍手) 21: ◯中川貴由君 自由民主党府議会議員団の中川貴由でございます。私は会派を代表しまして質問をさせていただきます。  地方が直面している大きな課題の一つは、人口減少と高齢化問題であります。2015年に80歳以上の高齢者は1,000万人を超え、その多くが地方に住んでいます。高齢化しつつある地方の人々がいかに質の高い生活を送れるかが行政にとっての大きな課題であります。そこで、人口減少と高齢化時代への対策という観点から幾つか提案をさせていただきながら質問をいたします。  最初に、地域創生事業としての「お茶の京都」について質問いたします。  本府では、「海」「森」「お茶」の「もうひとつの京都づくり」を推進しています。そして、新名神高速道路の城陽-八幡京田辺間が開通した本年を「お茶の京都」のターゲットイヤーとして、4月に私の地元八幡市の背割堤で開催されました「さくら茶会」を皮切りに、「宇治茶博@文化」をメーンイベントに据え、日本遺産サミット、ツアー・オブ・茶いくるライン、UJI-CHA Fair(フェア)など、年度末のテイクオフイベントまで、年間を通じて「お茶の京都博」を展開しています。推進力として観光関連団体、農林水産業者、交通事業者、商工関係者、伝統産業、NPOや学生などとの協働を進めると同時に、各市町村や観光協会などが実施するさまざまな祭りやイベントと連携して、地域一体となって取り組んでいます。  さらに、以前から進めてこられましたお茶の京都事業の取り組みや京都・山城の日本遺産にかかわる取り組みとも連携して、多くの人が地域の価値や魅力を感じ、長時間滞在できる大交流圏の形成を目指しております。また、お茶産業のイノベーションの創出にも取り組んでおり、宇治茶の市場価格がこれまで以上に高まるとともに、産業の新たな展開や生産性の向上、雇用創出なども期待でき、まさに地域創生事業であり、私は非常に高く評価しております。  さて、「お茶の京都博」は単年度事業のイベントですが、「お茶の京都」は地域創生事業として継続されますので、テイクオフイベントの後こそが重要であると言えます。ですから、この1年間の「お茶の京都博」事業によって、テイクオフイベント時に次につながるような進化があることが最も大事なことであると考えます。  そこで伺いますが、「お茶の京都博」を地域創生戦略の一環としてのステップアップ事業と考えると、地域団体や住民との協働体制や住民が地域に対する誇りを持って発信していること、地域のブランド力が強化されていること等、テイクオフイベント以降に持続的に地方創生事業が展開できるような体制や仕組みができていることなどが重要であると考えますが、知事はテイクオフイベント時に、地域がどのような進化を遂げているべきだと期待されておられるのか、御見解を伺います。  次に、業績評価指標について伺います。「お茶の京都」の関連指標を見ますと、ベンチマークレポートには「観光入込客数」「観光消費額」「茶生産額」となっています。「お茶の京都」は地域創生戦略の重要な施策ですので、茶産業の振興やお茶を生かした観光地づくりだけだとは思っていません。その意味では、今示しましたマクロ統計を評価指標にするのでは施策の正しい評価ができないのではないかと思います。お茶をテーマに観光入込客数がふえ、お茶が売れてお茶の生産量がふえることは結構なことですが、それによって関連産業や周辺産業が拡大し、良質な雇用が生まれ、暮らしやすい地域となり、定住人口増加につながり、これらの好循環が起きることが地域創生であり、その手法として地域住民主導で多くの主体が連携することが重要であると思います。それらの成果が正しく評価できるKPI(重要業績評価指標)や上位指標としてのKGI(重要目標達成指標)の設定が必要ではないでしょうか。  「明日の京都」の後に「もうひとつの京都」が生まれ、その後に地方創生戦略ができたので上位指標や上位目標を示すのは難しかったことは承知しておりますが、「お茶の京都」の上位指標として、起業の数、税収、雇用者数、そして定住人口などを設定すべきであると思います。来年度は「明日の京都」中期計画の見直し時期になりますので、「明日の京都」の中で「もうひとつの京都」をしっかりと位置づけていただき、適切な上位指標を設定していただきたいと思いますが、御所見を伺います。  次に、「お茶の京都」の推進機関について伺います。「お茶の京都」においても、「海」「森」と同様にDMO・一般社団法人京都山城地域振興社が設立されました。地域の多様な主体が連携して、宇治茶やお茶の京都地域の価値向上や京野菜、果樹等のブランド化や体験・交流型旅行商品開発・販売に取り組む組織であり、継続して交流圏づくりに結果を出してもらえるものと私も期待をしております。ただ、何度も申し上げておりますが、地域創生は観光だけではありません。本府の京都府地域創生戦略を実現する全てのことが対象となります。そのためにはガバナンスの効いた司令塔となる組織が必要になると考えます。  そこで提案ですが、北部では京都府北部地域連携都市圏形成推進協議会が設立されていますが、南部ではその役割を広域振興局に持たせたらいかがでしょうか。例えば「お茶の京都」事業では、大きな事業を本部で行い、広域振興局では小さな事業を行うだけで、何だか子会社的な位置づけにしかなっていないように感じます。そこで、広域振興局に地域創生の司令塔の役割を課すことによって広域振興局の位置づけや性格が大きく変わり、広域振興局の活性化にもつながると思います。また、地方創生は広域での連携が必要でありますし、場合によっては府県を超えた連携も出てくるでしょう。そうなると広域振興局が最適であると考えますが、御所見を伺います。  次に、民間活力の導入について伺います。  本格的な少子高齢社会が到来する中、各自治体は厳しい財政状況や将来の財政負担等を考慮し、公共投資額をできる限り抑制しつつ、効率的かつ効果的に住民生活や地域経済活動等に必要な社会資本の整備と質の高い公共サービスを提供することが求められております。そこでPPP事業、いわゆる官民協働の手法を取り入れ、さまざまな民間活力を活用した事業手法の導入が進められています。PPP事業には管理運営委託、施設貸与、DBO、施設譲受、リース方式、PFI事業、第3セクター方式、定期借地権方式など、多くの手法があります。PPPとは、民でできるものは民に任せて民営化できる部分を民営化し、公共サービスの充実・効率化を図るもので、本府もこれまでに多くの事業に導入してこられました。第3セクター方式など残念な結果になったものもあるかと思いますが、成功事例として最近では定期借地権方式を採用した運転免許更新センター及び地域防犯ステーション整備等事業が記憶に新しいところです。  次に、PPPの中でも最も民間の関与度が高いPFIについてですが、これは民間の資金とノウハウを活用し、公共サービスの質の向上と総事業コストの縮減を図ろうとするものであり、VFM、すなわち納税者価値の追求が基本原則であります。これまでの導入事例からも、同一のサービス水準を実現するために必要な財政負担の縮減率を見ると、高いVFMが得られていることがわかります。この高いVFMが得られる原理は4つあり、1つ目は性能発注による事業のライフサイクルでの効率化で、2つ目は官民それぞれのノウハウを生かした適材適所による事業リスクの最適負担です。3つ目が成果主義の導入による民間事業者の業績の担保であり、4つ目は競争原理の徹底であります。この4つの原理によって高いVFMが得られるため、多くの公共機関から厳しい財政制約のもとで多種多様な住民ニーズに応えるべく効率的かつ効果的な公共サービスを提供する手段として、また民間の事業機会を創造し経済活性化をもたらす手段として大きな期待が寄せられております。  実際に、PFI事業は平成11年から17年までの累計で527事業、総額4兆8,965億円の実績が上がっております。事業主体別には、国が69事業、地方自治体が413事業、特殊法人その他が45事業で、地方事業の内訳は、文教文化施設143、福祉施設22、医療・廃棄物施設86、観光施設・農業施設14、道路、公園、下水道などまちづくり施設76、警察・消防・行刑施設15、駐車と宿舎12となっています。  こうしてみますと、全国的に新しい公共事業手法として定着してきていると言えます。ところが本府の実績を見ると、府営住宅常団地整備事業、府営住宅槇島団地整備事業だけという状況であります。  また、2011年のPFI法改正によりコンセッション方式が導入されました。これは、料金収入がある公共施設の運営事業において、公的機関が施設の所有権を有したまま民間事業者が当該施設を利用して事業の運営に当たる制度であり、公的機関にとっては財政負担なく整備・維持運営することができること、運営権に対する対価を受け取ることができ、当該収入を原資に既存債務を圧縮することができること、民間のノウハウ導入による経営の効率化、マーケットリスクの移転、行政組織のスリム化なども期待できることが導入のメリットとして挙げられます。一方、民間事業者側から見れば、今まで公共施設の運営事業は公的機関の特権であったわけですから、新たな事業領域が拡大するという大きな意義があります。利用者にとっても、民間事業者が所有する技術やノウハウを最大限活用し、不必要な経費については効率化しつつ料金収入を上げるために顧客サービスを充実させるはずですから恩恵を受ける可能性も高まり、有力な手段となり得ます。現実問題として、本府でも高度経済成長時代に集中的に整備された学校、公営住宅、道路、下水道などの公共施設、公共インフラが老朽化し、2020年以降大量更新の時期を迎えます。人口減少の本格化に伴う需要の低下と財政面の制約が同時に進み、現在の施設をそのまま持ち続けるのは極めて難しい状況です。老朽化対策の推進に当たっては、PPP、PFIの積極的な導入が求められますが、PPP、PFIを促進するに当たっては、公共施設の状況、取得年月日や取得価額、原価償却額、未償却残高などの施設の状況や資産価値に関する情報を把握することが必要です。今年度より新地方公会計制度が導入され固定資産台帳が整備されます。これを活用して一層のPFI導入が進むものと期待しております。さらに行政サービスのコスト情報、施設・設備の保有状況・維持管理経費などのデータを誰もが活用できる形で公開し、PPP、PFIなど民間の参画の拡大を促すことも求められます。  そこで、質問いたします。  これまで行ってきたPPP事業をどのように評価されておられるのか。また、PFI事業の実績が少ない原因はどこにあるとお考えか、教えてください。そして今後、コンセッション方式を含めたPFI事業の積極的な導入が求められますが、PFI推進の方向性をどのようにお考えか。また、資産状況の正確な把握とオープンデータの活用拡大はPPP、PFIを促進する重要な要素と思われますが、御所見をお聞かせください。  次に、京都府内の市町村でのPFI事業の導入についてお聞きします。政令指定都市であります京都市以外の市町村を見渡しますと、長岡京市のPFI方式での小中学校普通教室等空気調和環境提供等事業、京丹波町でのDBO方式での(仮称)ハイウェイテラス・京たんば整備事業、そして現在検討中の福知山市の公営住宅建てかえ事業ぐらいしかありません。今後、財政制約が強まる中、いかにインフラを維持し、高齢社会に適応した社会を築いていくかは、市町村にとっては最大の問題であり、PFIの導入は避けて通れないものと考えます。  内閣府の調査によりますと、PFI導入が進まない要因は、行政側の認識不足、行政内の推進体制・環境の未整備、周辺地域に民間事業者がいない、民間事業者の選定の難しさ等が挙げられています。そこで事例研究を通じたノウハウの習得、具体事例での官民対話、異業種間のネットワーク形成、導入検討当初の資金負担等に対する京都府の一層の支援が必要であると考えます。  本府も去る5月30日、京都府公民連携プラットフォームを設置されたところですが、どのような人たちが参加されたのか、また市町村からどのような意見が出されたのか、教えてください。  また、京都府北部、南部によって地域事情も異なります。私は、広域連携を視野に入れて、広域振興局単位で地域プラットフォームを設置することが望ましいと考えます。「お茶の京都」の章でも述べましたが、広域振興局の改革にもつながるものと思いますが、いかがでしょうか。  そして、市町村でPFI導入が進まない大きな理由に、導入可能性調査や仕様作成など検討当初におけるコンサルタントとのアドバイザー契約に要する費用の高さも指摘されています。そこで財政面の支援も重要かと考えますが、御所見を伺います。  ここまでで、御答弁よろしくお願いいたします。 22: ◯議長村田正治君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 23: ◯知事山田啓二君) 中川議員の御質問にお答えいたします。  まず、「お茶の京都」でありますけれども、宇治茶の価値を再確認して、そして景観やお茶文化の維持、継承につなげていく、さらにお茶文化の持つ魅力によって地域に新しい交流を創出しネットワークを形成していく、さらにお茶産業のイノベーションを果たしていくというのを大きな目的として行っております。このため、「お茶の京都博」ではキーコンセプトをDiscover Premium Green(ディスカバー プレミアム グリーン)として、茶畑ビューイングや宇治茶ムリエ、全国茶香服(ちゃかぶき)大会などのイベントを通じて宇治茶の価値をもう一回みんなで共有しようじゃないか。そして、日本遺産に認定された景観を活用するための戦略交流拠点を各地域につくって、これをうまく周遊するため、お茶所バスとかいろいろやるんですけれども、ネットワーク化しようじゃないか。さらに、茶業研究所のリニューアルオープンによる宇治茶のプレミアムブランド化や宇治茶産業のイノベーションですとか、パリでの宇治茶アソシエーションの設置など、宇治茶のブランド化、こうしたものを今行っているところであります。  そして、1年間を通して開催する「お茶の京都博」の各イベントにおいて、その成果を内外の方に発信をしていくことによって、私どもはレガシーをつくっていきたいというふうに考えているわけであります。この場合、一番大切なことは、この後、どうするかということであります。「海の京都」につきましても、ことし非常に伊根がブレークしているんですね。今まで「海の京都博」でやっていたことが、ことしの北部地域の観光振興に大きな力を発揮している。その点からすると、一番大きなレガシーというのは、お茶という京都の持つ誇りについて共通の戦略を持てること、各地域が一つの戦略を持ってこれから対応できるようになる、そしてそのもとに連携とか交流の強化が図られる、これが私は「お茶の京都博」を通じて次に残していかなければならないことだと思っています。ですから、そのためにDMOがプロデューサーとしての役割を果たし、地域団体、住民との協働でさまざまなブラントイメージの確立などに取り組み、さらにそれを世界的なものへと広めていくという戦略を地域が持つことによって、効果は2年先、3年先にもっと上がるということを私は目指していきたいなと思っているところであります。  指標につきましては、山城地域の振興計画で観光入込客数や観光消費額ですとか、宇治茶ムリエの認定とかキッズ「茶ムリエ」検定の実施などの目標設定はしているんですけれども、さっき言いましたような時代的な流れもありまして、まだまだ十分に取り込めていないと思います。ただ、企業数とか定住人口とか交流人口になりますと、この地域は「お茶の京都」だけではなくて学研地域の大きなプロジェクトもありますし、これからは城陽の山砂利跡地の問題ですとか北陸新幹線など、各施策を総合的に勘案してこういう指標をつくっていく必要があるなというふうに思っておりますので、そうした点も考慮しながら新しい指標づくりに取り組んでいきたいと思います。  山城地域におきましては、今申し上げましたように、さまざまな大きな施策が重層的に取り組まれているわけでありまして、それをどうやってこれから調和をさせていくかということが京都府にとりましても大きな役割だと私は思っております。その点から申しますと、山城広域振興局は、この地域は本当に力がある地域なんですね。力があるし、特徴があるし、それぞれが物すごくいろいろな面でこれからの可能性のある地域でありますから、司令塔というよりはコーディネーター的な機能になるのではないかなと思っております。それも、単に市町村をつなぐだけではなくて、DMOを通じまして民間ともつないでいく、こういうコーディネート機能をしっかりとつくることによって、山城広域振興局ならではの機能というものをこれから考えていけたらなと思っているところであります。  それから、PPPの話でありますけれども、私は、京都府はPFIとかが少ないということではないと思います。というのは、これまでからいろいろなことをやってきておりまして、たまたまPFIという非常に限定された取り組みに当てはまらないけれども、例えば一番典型的な例は京都駅前の運転免許の更新センターですね。これはうちがつくったものを借りるという形になっているからPFIになっていないんですけれども、いわば典型的なPFIの変形でありますし、今回の京都経済センターも、こちらが出ていかないで民間の柔軟性を確保するために中小企業センターが出ていってるもんですからああいう形になっていますけども、これもいわばPFI的なプライベートファイナンスをうまく使った形でのイニシアチブだと思っております。さらに堀川団地。これもそうした面ではその典型ではないかなと思っておりまして、私はどちらかというと、京都府は積極的にPPP、PFI的な手法をうまく使ってきたんじゃないかなと思っております。ただ、PFIという形で固めてしまいますといろいろなことが自由にできなくなってしまいますので、PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)をやっていくと。それはいわば、パブリックとプライベートと、コーポラティブなファイナンスのイニシアチブをつくっていくみたいな、そんな形のことをかなり先進的にやってきているんじゃないかなと思っております。  そういう点で、コンセッション方式につきましても、国から既に補助を受けて京都スタジアムでの導入可能性調査を行っているところでありまして、こうした点も何らかの型にはめるよりも、本当に柔軟かつ多様な形でPPPを実施していく、そして実施しているという形に私はなっているんじゃないかなと思います。この前、留学生ハウスについても京大との間で協定を結びましたけれども、そういう点では、民間だけではなくてパブリック、パブリックの間でもやっているというのが特徴ですし、留学生ハウスの途中でやってきたナビゲーション方式のやつは、これもPFI的な手法でやっている。老朽化したものをうまく生かして新しいものに転用しているという点でも公民連携ということを積極的に行っていきたいと思っております。  その点から申しますと、御指摘がありましたように新しい会計制度の台帳整備というものはそうしたデータをうまく民間にも開放することによって、さらに民間側から提案を受けるという形で、今まではどちらかというと京都府のイニシアチブでやっていたものが多かったんですけれども、これからはそうした面では民間のイニシアチブ、特にホテルとかそうした点では、かなり民間が公的な施設について積極的に我々に提案をしてきている事例もありますので、そうした点も含めて、我々としてもデータをオープンにしていくことによってさらなる活用の幅を広げていきたいというふうに考えております。このために、オープンデータを建設会社、維持管理会社等の民間事業者、大学、金融機関についても幅広く利用できるように公民連携プラットフォームを5月に発足させましたので、こうした点をうまく活用していけたらなと思っております。市町村においても、いろいろな事例はあると思うんですけれども、やっぱりデータの問題ですとか、民間とのつなぎの問題、マッチングの問題等があって、なかなか進んでいない現状もあると思いますので、先ほど申しました公民連携プラットフォームには市町村の参画も呼びかけておりまして、100名を超える人が参加しております。その中で市町村関係者からは、他の市町村の状況と照らし合わせて共通の悩みであることがわかったですとか、行政と民間との視点の違いや、具体的な事業検討に当たっての適切な導入手法がわかったとか、そういったような意見もいただいておりますので、これを利用して広げていきたいなと思っております。局単位についても一緒だと思うんですけれども、多分、こういったプラットフォームを利用して意見交換をしていく中で次のものが生まれると思いますので、例えば各広域振興局ごとにプラットフォームの巡回開催をするなどして、広域振興局とこうしたプラットフォームがうまく連携する形で次の展開ができたらと思います。  それから財政負担の問題につきましては、先ほど申しましたように、京都スタジアムについては内閣府の補助金を私ども獲得して、今、導入を進めているというわけでありますから、こうしたものの積み重ねを踏まえて市町村についての財政的負担のあり方についても検討していけたらなというふうに考えているところであります。 24: ◯議長村田正治君) 中川貴由君。    〔中川貴由君登壇〕 25: ◯中川貴由君 御答弁をいただきありがとうございました。まず、「お茶の京都」でございますけれども、「森の京都」のときもそうだったんですが、この1年後にテイクオフイベントを設定していくと。これが知事の一つの工夫であると思っております。特に、単年度事業としては今あるような指標で進めていく、それだけでいいのかもしれないんですが、一つ一つの施策は正しく展開されていても、みんな集めると変なほうに行ってしまうとかいうこともあると思いますので、先ほど知事もおっしゃりましたけれども、「明日の京都」の中でも、今度しっかりと指標というのを取り込んでいただきたいなと思います。  広域振興局のあり方ですけれども、今のあり方がどうにも私、中途半端なような気がしておりまして、人口減少が進んでいく中で、あらゆる組織の見直しと活性化は必要だと思うんですけど、新しいものをつくるんじゃなくて、今あるものを活性化させていくということが最大の行政改革じゃないかなと思っておりますので、先ほど知事もコーディネーターということでおっしゃりましたけれども、広域振興局に新たな価値というか命を吹き込んでいただくような取り組みをこれからも期待したいと思います。  それから民間活力導入については、ほとんど私の意図どおりの御答弁だったんで非常にありがたいですけど、京都府がPPPには非常に積極的だと。たまたまPFIになっていなかっただけということで安心しております。これからも、本当にあらゆる分野でPPP、PFI手法は使えると思います。横浜市では全てのことを一旦PPPの土俵に乗せていくと。それでできなければ初めて違うことを考えるというようなやり方もしているようですので、積極的にPPP導入に向けて頑張っていただきたいと思います。  そして、連携プラットフォームですけれども、これも国のほうでは20万人程度のところでということなんで、それで私、広域振興局というのを提案させていただきましたが、これも先ほど来、広域振興局の価値についてちょっと考えていましたので、そういった提案をさせていただきました。巡回制でもいいので、できるだけまたそういったことにもしっかりと取り組んでいただき、さらに民間提案を促進していくためのデータのオープン化とかを進めていただきたいと思います。  それから、市町村に推進していくためには、どうしても当初の費用負担というのが、いろいろ聞きますとそういう声が高く上がっておりますので、ぜひともその辺の支援についても御協力いただきますようお願い申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。  次に、シェアリングエコノミーについてお聞きします。  政府は、民泊などのシェアリングエコノミーの拡大を経済成長の起爆剤の一つと位置づけています。本府でも話題になっていますが、空いている部屋を旅行者などに貸し出す民泊や、自家用車の空席に人を乗せて料金を得るライドシェア、駐車場、旅行案内、子どもの一時預かり、家事代行等々、さまざまなモノやサービスをシェアするビジネスが現在事業化されつつあります。このシェアリングエコノミーは日本の社会問題を解決する一つの手段にもなり得る可能性があります。例えば民泊では、空き家などのシェアにより宿泊施設の不足を補い、地域活性化を促す効果も期待できます。また、カーシェアリングにより車の量が削減されることによってCO2の削減が期待できます。さらに、子育てシェアサービスは待機児童問題の解決に寄与しますし、新たな女性活躍の場としても期待できます。預ける側も経済的・精神的にも豊かになれます。ソーシャルレンディングでは、金融機関から融資を受けられないような中小企業にとって消費者金融より低金利で融資を受けることが可能になります。また、モノの貸し借りを通じて、これまで全く面識のなかった人同士のつながりが生まれるという効果もあるでしょう。このように、シェアリングエコノミーはより効率的な社会を目指すために非常に有用なサービスになり得る可能性があります。  一方で、課題も山積しております。シェアリングエコノミーは、インターネット上で瞬時にマッチングさせるものですから、サービスの質や安全・安心の確保が重要となります。現在は相互評価による事後チェックが基本ですが、マッチング・プラットフォームを行う業界団体を組織して、自主的なルール整備や認証付与などが求められます。  また、業法で規制されている既存事業者が不利にならないイコールフィッティングを十分に実現する必要もあります。今まで法令遵守のコストを負担してきた既存事業者が客を奪われてしまうとなると、あまりに不公平と言わざるを得ません。経済の新陳代謝が生じるのは歴史的にやむを得ませんが、過渡期には既存事業者に対する何らかの救済措置、例えば既存事業者の供給が追いついていない地域でのサービスに限って認めるなどの配慮が不可欠だと思います。  経済面から見た弊害は、シェアリングエコノミーは既に誰かが所有しているモノを一時的に使用する権利を売買するわけですから、新商品が売れなくなるという懸念が生じます。社会的には、シェアリングエコノミーはそもそも余剰を消費することに基づいているため、住居スペースに余裕があったり、車を所有しているといった一部の階層の人のみが参入可能となるもので、不平等を拡大させるのではないかとの懸念もあります。  法律的な観点からは、シェアリングエコノミー事業者とサービスを実際に提供する人との雇用関係のあり方や社会保障の問題が顕在化する可能性もあります。さらに、税制上の問題も生じます。所得情報をどのように課税当局は把握するのかという問題がありますし、消費税や法人税についても多くの課題が考えられます。  以上、シェアリングエコノミーの可能性と課題について述べてまいりましたが、シェアリングエコノミーは一見無秩序な仕組みですので、先ほど挙げた課題を乗り越えていかなくてはなりませんが、時間の価値、知識の価値、私物資産の価値を見える化する効果を持っています。信用社会をつくり上げれば資源配分の最適化をもたらす仕組みでもあります。総合的に見たら経済や社会全体にとってプラスになると思いますので、人口減少が本格化する日本にとって取り入れるべきものと考えますが、知事はシェアリングエコノミーの可能性や課題をどのように認識されておられるのか、お聞かせください。  次に、災害時のシェアリングエコノミーの可能性についてお聞きします。昨年発生いたしました熊本地震では、多くのボランティアが現地に駆けつけましたが、その際、民泊業者が無償で民家を提供し、話題になりました。カーシェアリングサービスでは、複数人で利用することにより渋滞の緩和や駐車場不足の緩和につながり、車を失った被災者の方の移動手段ともなりました。キャンピングカーとトレーラーハウスの無償貸し出しも行われ、仮設住宅への移住を待つ被災者の方に広いスペースを提供し、体調不良リスクの軽減に貢献されました。駐車場シェアサービスでは、被災者、支援者に向けて無料開放を行い、迷惑駐車がなくなり、緊急車の通行がスムーズに行えたという実績もあります。震災のように一刻を争う中、多くの人が生活をしなければならない状況下では、既に現地にあるものをどれだけ有効活用できるかが重要になります。シェアサービスは、もともとそこにある資産を有効に活用することで提供されるサービスですから、緊急時に改めてよそから必要なモノを運搬する必要がありません。つまり、時間のロスを省けるので、緊急時には有効な手段となります。  知事は、緊急時におけるシェアリングサービスの有効性について、どのようにお考えか。また、地域防災計画にシェアリングサービスとの連携や活用を組み入れる必要があると考えますが、御所見を伺います。  さて、人口減少が本格化し、高齢化が一層進展する地方にとって地域の人々がいかに質の高い生活を送れるかが問題となります。シェアリングエコノミーは、高齢者の交通アクセス問題、医療・介護問題、省エネ・循環型社会の構築といった課題解決に利用可能であります。また、所得の再分配や資源の循環的利用、さらには多層的なコミュニティの形成にもつながります。実際に本府でも、公共交通空白地有償運送、通称「ささえ合い交通」が京丹後市で本格運用されています。これはシェアリングエコノミーの代表格であるUber(ウーバー)と連携したサービスで、過疎化、高齢化が進むエリアで地域交通の利便性を目指したもので、私も大きな期待を寄せております。過疎化、高齢化した地域にとって交通手段を確保することは、地域の生命線とも言えます。また、個人の好きな時間にドライバーとして働く仕組みのため、新しいワークスタイルが生まれ、過疎地域の人口定着にも効果を発揮するものと思えます。  そこで質問いたします。  1年間の実証実験の結果、「ささえ合い交通」をどのように評価されているのか教えてください。また、中長期的に考えると、地方は過疎化が進みさらに人手が不足するため、みんなで時間を効率的に活用してトータルの収入を上げるシェアリングエコノミーの重要性は増してきますので、地方創生にこそ力を発揮するものと考えます。「ささえ合い交通」の1年間の実証実験の結果も踏まえ、地方創生におけるシェアリングエコノミーの可能性に対する知事の御所見を伺います。  最後に、中小企業の生産性向上支援について伺います。  日銀が発表した3月の全国企業短期経済観測調査では、人手不足や仕入れ価格の上昇に直面する非製造業や中小企業の実情が浮かび上がっており、増加するコストを販売価格に転嫁できるかなど、非製造業や中小企業では持続的な成長実現への課題は少なくありません。  中小企業基盤整備機構は、中小企業の74%が「人手不足」を感じているとする調査結果を発表しました。また、人手不足により3割の中小企業が売り上げ減や商品・サービスの質の低下の影響が出ていると回答しています。さらに民間調査会社の調査によりますと、よりよい人材を採用するために新たに始めた取り組みのうち最も多かったのが賃金体系の見直しで、約半数の企業が取り組んでおり、企業の人件費コストが大きく上昇していることがわかるかと思います。特に中小企業において顕著であり、ものづくり産業労働組合の春季労使交渉では、中間集計で従業員300人未満の中小企業のベースアップの平均回答額がトヨタ自動車などを上回っています。厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、社員規模別に見た賃金上昇率は16年度に入り、社員5から29人の中小企業が500人以上の大企業をおおむね上回って推移しており、2月の中小企業の賃金上昇率は0.8%と大企業に比べて0.7ポイント高くなっています。さらに厚生労働省が発表した4月の有効求人倍率は、前月より0.03ポイント上昇し1.48倍で、京都労働局が発表した京都府内の4月の有効求人倍率も、全国同様に前月比0.04ポイント上昇の1.49倍と、バブル経済時の最高水準を超えた状況にあり、採用氷河期が到来しているとも言われています。バブル時代は、売り上げの増加が伴っていましたので中小企業でも高騰する人件費を何とか吸収することができましたが、現在は経済の回復が地方や中小企業にまでまだ十分には届いておらず、利益の中から人件費コストを負担することが、かなり厳しい状況であると言えます。  しかし、今後の人口減少や少子高齢化の進展を考えますと、この人手不足は決して一過性のものではありません。国立社会保障・人口問題研究所が4月に公表した「日本の将来推計人口」によれば、総人口は2015年の1億2,709万人から50年後の2065年には8,808万人に減少し、およそ3分の1の人口が失われます。生産年齢人口は2015年の7,728万人から2065年では4,529万人、4割以上も減少するという結果になっています。単純に生産年齢人口と労働力人口が比例しているとすると、2015年には6,698万人であった労働力人口は2065年には3,867万人にまで減少することになります。そこで、単純に人手を採用するのではなく、企業の生産性や付加価値を高めていくことが求められます。生産性の向上が確実に進めば労働力の代替も進み、労働力不足の問題も緩和されます。それにはロボットやICTの導入、さらには企業や系列の垣根を越えた産業の再編や連携、異業種連携などが生産性向上のキーとして期待されます。  本府も中小企業知恵の経営ステップアップ事業費で経営改善支援を行っていますが、この規模では生産性の向上に目に見えた効果を発揮するには不十分で、一層の拡充が必要と考えますが、いかがでしょうか。  また、ロボットやICT導入の専門的な知識を持った支援員の育成が急務であり、中小企業に対する伴走支援のさらなる強化が必要と考えますが、いかがでしょうか。  また、本府が本年度から推進しているシェアリング事業は、やり方によっては現在形骸化しかけている地域の経済団体や業界団体の活性化にもつながると思いますが、どのようなスキームなのか、またどのような成果が期待できるとお考えなのか、教えてください。  さて、中小企業は雇用の7割、付加価値の半分近くを占めており、その活性化抜きに日本経済の力強い成長は難しいと言えます。しかし、これまでの労働生産性を見ると、サービス業を初めとする非製造業の中小階層の低迷が深刻であります。経済学の大命題の一つとして「保護的政策は長期的に競争力を低下させる」というものがありますが、90年代後半以降、中小企業への資金繰り支援策がたびたび講じられてきました。危機対応としての意義はあったと評価いたしますが、大規模で長期にわたる施策はダイナミズムを徐々に喪失させる副作用があったと言えます。支援の対象は既存の中小事業者であり、先行者を温存することで潜在的な参入障壁を高めかねません。中小企業のダイナミズムの大きな源泉は、活力ある参入者と生産性が相対的に低い退出者の出入りによる新陳代謝であるはずですが、その働きが弱められたと言えます。また、中小企業向けの支援策は資金繰り対策が柱でありましたが、大企業が債務免除を多用されたのと異なり債務を維持する支援が講じられてきました。倒産こそ免れつつも長年にわたり収益を債務返済に充当せざるを得ず、イノベーションなどを通じた生産性の向上策を進めにくい状況だったと考えられます。何らかの意図を持って講じた施策が全体では逆の効果を生じるという「合成の誤謬」は経済の世界ではよくあることですが、業界全体の温存が結果的に互いの消耗戦を強いることや雇用のミスマッチを生む要因となったと考えられます。  そこで、手厚く講じられてきました保護支援を徐々に収束させていき、事業再生の努力や撤退の決断を促し、企業の業績改善や新陳代謝を促進させるような支援や新たな起業支援、起業後間もない若年起業の支援に軸足を移すべきではないでしょうか。景気回復が続くと見られるここしばらくは、景気循環の観点からも絶好のタイミングであると考えますが、御所見をお伺いします。  以上、御答弁をよろしくお願いいたします。 26: ◯議長村田正治君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 27: ◯知事山田啓二君) シェアリングエコノミーについてでありますけれども、いろいろとシェアリングエコノミーにつきましては、今、議員から御指摘ありましたように、少子高齢化や人口減少が進む中で、今までの私たちの経済概念を大きく変えるものになるんじゃないかなと思います。ホームシェア、ライドシェアといった形で遊休資産の活用という形になっているんですけれども、要するに、基本的には所有重視から利用重視へと移ってくる。所有をするということが今までは富の源泉であり、そこから富が生まれてきたというわけでありますけれども、これからはそうではなくて、利用から富が生まれ、そしてまた生産にそれがつながっていくという形で、価値観を変化させる大きなパラダイムシフトになるんじゃないかなと思っております。まさに人口減少時代、少子高齢化時代という、私たちがかつて直面したことのない時代を乗り切るためには、いわば生産とか所有とかに拘泥するのではなくて、こういうシェアリングエコノミーのような利用に着目することによって、その束縛を逃れることによって新たな経済成長を遂げることができるのではないかという点では、私は本当に大きな意味を持っているのではないかなと思っております。  その点で、シェアリングエコノミーの世界市場規模は2025年には約36.5兆円に上ると予想されているんですけれども、私はそれ以上の大きな意味をもたらすのではないかなと思っております。そうした大きな観点からまずつかむと同時に、いわば小さな観点からいっても、本当にいろいろな役割をしていくんじゃないか。人が活躍をする上で、先ほどお話がありましたように、子ども好きな主婦による託児サービスが出てくるとか、いっぱい服を持っている人もそれを貸し出すことができるとか、あいたものをどんどん使っていく、それをIoTやAI、こうしたものが結びつけていく形になってくると思います。  京都府におきましてもそうした点ではいろいろなものが進んでおりまして、ことしの予算でやっております中小企業のシェアリング事業もまさにその名前のとおりでありますけれども、ほかにも商店街の空き店舗の活用ですとか、空いた部屋を下宿にしていく京都ソリデールとか、いろいろなところでシェアリングエコノミーと申しますか、シェアリング事業が顔を出しているというのが現状だと思っております。前にやったのでは、府大と工繊大と府立医大の教養施設を一本にしたのも典型的なシェアリング事業かなと思っておりますけれども、そうした点で、今、どんどん普及はしつつあると思います。ただ、問題は確かにございまして、多分、プライバシーに関する情報が漏洩する危険がある。コンピューター社会ではクラウドになって、今まではハードディスクにどんどんため込んでいたのがクラウド型になってしまうと、この場合一番怖いのはクラウドから情報が漏れてしまうという例がもう出ておりますけれども、そうした点が懸念される。そして、事故やトラブル時、これもシェアをどうするかというときに詐欺的なものが入ってきている現実がございます。さらに、既存の法令に抵触するものがある。民泊などはまさにその典型として出てきております。そして、それがわからないまま、認知度や利用意向がないまま進んでしまうこともあります。こうした問題を私たちはやっぱりもう一度しっかりと見詰めて、こういうIoT社会におけるプライバシーやセキュリティの問題、そして既存の法令については先進的にそれを取り組んでいく努力、また事故やトラブルにつきましてはそのルール化、こうしたものを早急にきちっと国とも連携しながらやっていかなきゃいけないんじゃないかなと思っております。国は今、シェアリングエコノミー・モデルガイドラインというものを策定するようでありますけれども、こうしたものを通じて新しい時代はこの方向に進んでいくと思いますので、それを多くの人が戸惑うのではなくて、多くの人が生かせる時代へと変えていくというのが我々にとっては非常に有効な方向ではないかなと思っております。  次に、災害時のシェアリングエコノミーでありますけれども、これも熊本地震の例を挙げられましたけれども、まさに何かあったときには一番、的確に助け合うという共助という点で大きな力を発揮していくと思っております。ただ、前にも申し上げましたように、例えば災害時に効果的な被災者対策を行う観点からすると、同時に集中とか重点化という問題もありますので、こことのバランスはとらなければいけない。その点から申しますと、例えば民間の家を貸し出すとか、トレーラーハウスやキャンピングカーを貸し出すというのは補完的な位置づけとして考えることによって初めて効果的になると思います。そして、あらかじめ旅館やホテル、民泊の活用とか、こうしたカーシェアなど、さまざまな避難対策をうまく組み合わせていくことによって柔軟な対処をすることができるように我々はしていかなければならないと思います。  このため京都府では、災害時の共助の一環として、既に300を超える企業、団体と物資の供給や車両、重機等の貸与を受けるといった協定を締結しているところでありまして、今後、こうした締結を通じて、まさにシェアリング防災、共助の観点も十分に整った形での災害対策を講じていきたいと思っております。  それから、「ささえ合い交通」を初めとしてのシェアリングの中でも過疎高齢地の対策、地方創生対策でありますけれども、昨年の5月から京丹後市におきましては公共交通の空白地有償運送として運行を開始しまして、毎月、大体60回以上の乗車利用の実績があるようであります。Uber(ウーバー)のシステムでは、スマートフォンとかの配車予約はクレジットカード決済だったんですけども、高齢地におきましては、これを電話対応や現金支払いも可能にするといったような柔軟な対応をすることによって、いわば過疎高齢地向けの新しい有償交通システムへの道を切り開きつつあるんじゃないかなというふうに評価をしているところであります。こうしたものを私どもはさらに、例えば美山地区等におけるICTを活用した高齢者の移動ニーズと日用品の配達などのマッチングの仕組みづくりのように、もっと複合化していくことによって新たな過疎高齢地サービスの展開というものにつなげていけたらなと思っております。さらに学研都市におけるEV業者のカーシェアリング、これもスマートシティモデルとして、先日、メルセデス・ベンツと連携協定を行いましたけれども、これもそうしたスマートシティとしてのあり方を見ていく。センサー技術を組み合わせて、IoTを組み合わせると、こういうシェアリングサービスというのはまた全然違う側面を持てるんじゃないかなと思っておりますので、こういう形で過疎高齢地だけではなくて、都市部においても新しい地域創生の道具としてこの分野を開拓できたらいいなと思っているところであります。  今後とも、シェアリングエコノミーというものが、本当にさまざまな分野においてパラダイムシフトを展開していくと思いますので、それを先取りする形で効果的な住民サービス、京都府の目指しております住民サービスの最大化、住民満足の最大化に向かって新たな道筋をつけていきたいと思っております。  次に、中小企業の生産性向上支援でありますけれども、中小企業のニーズが多様化していく中では、それぞれの課題や規模に応じた支援を行っていく必要があると思っております。このため、経営改善のファーストステップを支援する知恵の経営ステップアップ事業ですとか、生産拡大や業務効率化を目指す設備導入などの計画的で大規模な取り組みを支援するエコノミック・ガーデニング支援強化事業など、その成長の段階に応じて支援メニューを用意していく。これを一貫してうまく計画的に行っていきたいというのが京都版エコノミック・ガーデニングの一番の趣旨であります。こうした事業を活用した事業者の約6割が売り上げアップするなどの効果も上げているところであります。中でもステップアップ事業は中小企業応援隊の伴走支援によりまして、企業ニーズに迅速に応える使い勝手のよい小口の補助金としては高い評価をいただいているところでありますけれども、補助対象物の高額化などに伴いまして補助限度額の引き上げの声もありますし、また、もっと広範囲に適用できる小口というものを、伴走支援だけでも今2万、毎年やっているわけでありますから、さらに広げていくということも私は必要ではないかなというふうに思っておりまして、支援員が新しい時代の波にしっかりと対応できるような形でステップアップ事業の拡充も考えていけたらなと思っております。  そして、そのためにも支援員のスキルアップを図っていくことが必要でありますので、これまでから全体研修会や支援事例研究会などの場を活用して、知識の習得ですとか事例課題の共有を行っているところでありますけれども、今年度はロボットやICT分野についてのテーマを設定して、新たなニーズに対応できるような資質の向上を図りますとともに、コンサルティングやコーディネーターなどの高度な専門知識を有する専門家とも連携して、引き続き中小企業に対してきめ細やかな支援ができるように取り組みを進めていきたいと思っているところであります。  それから、その中で中小企業シェアリング事業でありますけれども、これは企業同士の連携交流を進めるために、今度はIoTの技術をうまく活用してそのレベルを上げていこうということで、複数企業が地域とか業界を超えて活動していく、そしてその中で生産性アップ、競争力の向上を図ることができるのではないかというものであります。この事業では、受注設計機械の稼働等の情報共有に必要なネットワークシステムやセンサーの整備、そして従来コスト負担の関係で1社では導入できなかった工作機械の整備、情報や機械、扱う人も含めたルールの検討策定、そして参画企業のレベルアップのための講習会開催などを支援してまいります。生産工程をこういう集まった企業が一体化することで、小さな企業、異なる場所でも低コストの設備投資による精度の向上や受注拡大、そして同時・分散加工による納期短縮も可能となり、人手不足の解決策にもつながるというふうに考えているところであります。  また、生産工程だけではなくて、企業の強みである技術、ノウハウなど、知恵のシェアリングまで進展すれば、それぞれの強みを掛け合わせた新たな商品サービスが生まれるということで、そうした点でも期待をしているところであります。こうした企業同士の思い切ったグループ化を促すためには、地域全体での取り組みや業界の枠を超えた取り組みが必要になってくると思いますので、この点からすれば、地域経済団体や業界団体自身が従来の取り組みを見直す必要が出てくるというふうに考えておりまして、こうしたイノベーションが地域経済団体や業界団体の活性化や再構築にもつながっていくという点でも可能性を秘めていると私は思っております。それだけに新たに取り組みを地域経済団体や業界団体に理解してもらうことが不可欠でありますし、そうした中でさまざまなこれからの新しい動きができてくるようなことをさらに進めていけたらというふうに考えているところであります。  次に、企業支援と申しますか、新しい産業を興す支援などについてでありますけれども、確かに府の支援策におきましては、中小企業再生資金や中小企業下支え資金などによって中小企業の倒産を防ぎ、その中で時間を稼ぐ中で中小企業応援隊による伴走支援など、経営改善や成長を同時に支援することによって京都府内の地域経済の底上げを図ってきたところであります。売り上げが減少している企業の経営安定に向けた借換融資などの資金繰り支援策は昨年度で約6,600件で中小企業を下支えするセーフティネットとして役割を果たすと。一方で、中小企業応援隊が年間約2万4,000社を訪問して経営改善の取り組みを支援し、先ほどお話ししましたような経営ステップアップ事業やエコノミック・ガーデニングにつなげていくということをやっているわけであります。そして、さらに平成27年度の制度融資につきましても、生産性向上につながるように国指定の不況業種以外でも借り換えを可能とするなど、制度全般を使いやすく簡素に再編するとともに、開業・経営承継支援基金について金利や保証料の引き下げ、融資期間の延長といった大幅な充実を行うことで実績も対前年比2割増しという形になっているというところであります。  私は、そういう点では、確かに新しい企業を興すとか、若手をうまく支援していくということも必要だと思いますけれども、やっぱり人口減少の中で、今あるものの利用、これも一種のシェアリングだと思うんですけれども、そうした点もやっぱりこれまで以上に重要になってるんじゃないかなと思っておりまして、今まであるものを十分に生かしながら新しいものに取り組んでいくというバランスをとった施策という展開をしていく必要があると思います。その点では、維持戦略と成長戦略をどう組み合わせていくかという中で、マイルドな新陳代謝というのが私は今の時代に一番合った方向じゃないかなと思っておりまして、それが京都版エコノミック・ガーデニングの本質であるというふうに考えております。  今後ともそうした面では、中小企業の経営をうまく守りながら生産性向上、新陳代謝につなげていけたらと思っております。 28: ◯議長村田正治君) 中川貴由君。    〔中川貴由君登壇〕 29: ◯中川貴由君 御答弁いただきありがとうございました。まず、シェアリングエコノミーです。本当にシェアリングをしっかりと理解していただいていて安心をいたしました。経済関連を大きく変える動きだと思うんです。人口減少が本格化する日本にとっては、資源に新しい価値を踏み込むという動きですので、これからの社会に役立つものと思われますので積極的に進めていっていただきたいなと思います。そのためには規制緩和というのが絶対に必要になってくるわけですが、先ほど知事もおっしゃっていましたけれども、既存産業に対する激変緩和というのも十分考慮しながら着実に進めていっていただきたいなと思います。  それと、災害時の補完的な役割、これもまさにそのとおりだと思います。本当に大きな力を発揮するものですので、やっぱりこういった存在があるので、これを有効に活用していくというのが大事なことだと考えております。  それから、今回質問しなかったんですけど、ちょっと知事も話題に出されましたけれど、公共施設の活用においても、このシェアリングという考え方は使っていけるのではないのかなと思います。私たちはこのシェアリングという概念自体をもう無視できない時代になってきたのかなと思っておりますので、これからも着実に進めていっていただくようにお願い申し上げます。  続いて、中小企業の生産性向上ですけれども、50年後に労働者の数が3,800万人になるということは、いつまでも中小企業も同じことをやっていたら残るわけがないので、特に中小企業は労働集約型が多いわけですから、そういうわけにいきません。それで、そのためにロボットやICTの導入となるわけですけれども、資金や人材の制約によってロボット化やIT導入が進まないというのが中小企業の実態だと思います。中小企業支援には伴走支援というのが最も効果を発揮するんですけれども、そのための知識を持った伴走支援員が圧倒的に少ないような気がするんです。50年後に3,800万人になるということはそんなに時間がないと思うんですね。そうすると、特にロボットとかICT導入の支援員というのは圧倒的に少ないと思います。それから、中小企業内にもITの知識を持った人材も必要になるわけですから、人材育成支援の一層の拡充をお願いしたいなと思います。  それから、初期導入費用の支援もIoT導入を後押しすることになるかと思います。特に中小企業に広く進めていくためには、モデルとなる事例づくりは絶対必要だと思いますので、その事例づくりについては結構しっかりと支援をしてあげて、ある程度のモデルをつくっていくことが大事かなと思っております。  知事もおっしゃったマイルドな新陳代謝。中小企業の活力というのはやっぱり変化に対するスピード感とか、テーマをいかに深掘りしていくかという深度とか、その中でイノベーションが起きていくと、そういうことにあったわけで、先ほどおっしゃいました時間を稼いだ、まさにそのとおりだと思うんですね。時間を稼いでばっかりいてもしようがないので、これからはマイルドな新陳代謝なんですけれども、やっぱりイノベーションを起こすような、あるいは革新が進んでいくような投資を企業にもしていってもらって、それに向けて融資していくということが大事なんじゃないかなと思います。  以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 30: ◯議長村田正治君) この際、午後3時35分を目途に本会議を再開することとし、休憩いたします。
       午後3時18分 休憩            ────────────────────    午後3時37分 再開 31: ◯議長村田正治君) 休憩前に引き続き、会議を行います。  次に、井上重典君に発言を許します。井上重典君。    〔井上重典君登壇〕(拍手) 32: ◯井上重典君 自由民主党会派の井上重典でございます。代表質問、最後の質問となりました。あとしばらく皆さんおつき合いをお願いいたします。それでは、通告に従い6項目の質問を行います。  最初にお伺いいたしますのは、森林の整備・保全についてでございます。  京都府では、平成24年の南部地域豪雨災害、平成25年の台風18号災害、平成26年の福知山市内の内水氾濫などの災害が続いたところですが、このような災害が発生したのは地球規模での気候変動により、そもそも雨の降り方が昔とは変わってきて、私たちの想像を超える量の雨が集中して降るようになってきたということも一つの原因であろうと思いますが、森林の保水機能の低下も一因ではないかと思うところでございます。  森林には、降った雨が森林土壌に一時貯留され、河川へ流れ込む水量を平準化して洪水を緩和する機能のほか、樹木や草木が地面を覆い、その根が土壌を押さえることによって雨による表面土壌の流出や土砂崩れ等を防止する機能もあるとされ、災害の防止に大きな役割を果たしています。そのほかにも、森林には快適環境形成機能、生物多様性保全機能、地球環境保全機能など多面的な機能があるとされ、このような森林の持つ機能について日本学術会議において定量的に評価が行われたところ、日本全体の森林で年間約70兆円にも上るとされているところです。この日本学術会議の計算方法を当てはめると、京都府の森林の多面的機能の評価額は9,730億円と試算されると伺っております。  我が国は、地形が急峻で地質が脆弱であることに加え、前線や台風に伴う豪雨等が頻発することから、京都府に限らず毎年各地で多くの山地災害や河川の氾濫が発生しています。災害から府民の生活の安心・安全を守っていく上で、土砂災害の防止、水源の涵養、地球温暖化防止など、森林の多面的機能が果たしている役割は極めて重要であると考えます。府内の森林は、府の全面積の74%を占め、そのうち国有林を除く民有林が98%を占めており、災害を防ぐ上でこの民有林を適切に管理し、森林の多面的機能を十分に発揮させていくことが重要であると考えます。  平成27年4月1日には京都府森林の適正な管理に関する条例が施行され、森林を所有する方にも森林の管理責任を自覚し、荒廃により災害の原因とならないよう森林を適正に管理する責務が定められ、また平成28年8月4日には災害からの安全な京都づくり条例が施行され、森林を所有する方に雨水貯留浸透機能が維持されるよう適正に管理する責務が定められました。このように、森林を適正に管理する責務を条例に定め、その多面的機能を守っていこうという姿勢を示されたことには大きな意味があるものと考えます。そして、このような森林の適正管理の責務を明確にしつつ、平成28年度からは森林の整備及び保全、森林資源の循環利用並びに森林の多様な重要性について府民の皆さんに理解していただくための施策に要する経費の新たな財源として、豊かな森を育てる府民税が導入されたところであります。森林の多面的機能の恩恵は府民全員が享受しているものであり、その恩恵をいつまでも受け続けるために府民全員が少しずつそのための費用を負担するということで、森林を所有する方の適正管理の責務と相まって、森林の多面的機能の維持・増進に向けてオール京都で取り組む姿勢を明確にされたと言えます。  そこでお伺いいたします。  豊かな森を育てる府民税が導入されて1年が経過した中で、この税を財源とした事業の実施状況や成果をどのように見据えておられますでしょうか。特に災害予防という観点から、どのように評価されているのでしょうか、お伺いいたします。  さらに、森林につきましては、土砂災害防止という防災・減災の機能だけでなく、水源涵養という機能もあります。もちろん、ここにも地中に水をため込み、洪水を起きにくくさせるという防災・減災の部分も含みますが、もう一つ、水という資源を貯留し、水質を浄化するという機能もあります。私は、資源という意味での水というものにも着目する必要があるのではないかと思います。  福知山市においても代表的な湧き水として、雲原の「てんやの水」、天座の「万亀の長寿の水」などがありますし、三岳山麓を採水地とするミネラルウオーターもあるようです。昨年度の予算特別委員会の書面審査におきましても我が会派の池田議員が、外国資本による森林買収について懸念を示され、水源の森をしっかり守っていく必要があると述べられたところであります。私もまさに同感であります。森林で生まれた水が地下水や川となって農業・工業などの産業生産に使われ、また生活用水として我々の日々の生活を支えています。そこで生み出される清らかな水を一層活用するためにも、豊かな森を育てる府民税の導入で府民の皆さんの森を守っていくという機運が高まっている中で、行政による規制をかけるなど、水源の森を将来に向けてしっかりと守っていく必要があるのではないかと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  次にお伺いいたしますのは、由良川流域の総合的な治水対策についてであります。  福知山市におきましては、平成16年10月の台風23号の直撃を受けて由良川が氾濫し下天津、大江町など、下流域の家屋浸水など甚大な被害が発生いたしました。バスツアー乗客37人を乗せた観光バスが立ち往生したときであります。また、平成25年9月には、台風18号の影響を受けて由良川流域の家屋、農業、河川などの甚大な被害が発生をいたしました。  平成16年の台風23号から10年目の平成26年8月には、福知山市の市街地などが局地的集中豪雨により大規模な浸水被害が発生をいたしました。10年間で家屋浸水など甚大な被害を3回受けております。これを踏まえて、同年12月に国土交通省、京都府、福知山市が連携をし、弘法川及び法川流域の浸水被害軽減に向けた、おおむね5カ年の総合的な治水対策が策定されました。平成29年度はちょうど折り返しの時期となりました。現在は、弘法川・法川床上浸水対策特別緊急事業におきましては、法川は上流法川橋橋梁工事が完成をし、取り合い道路の工事を実施していただいておりますし、弘法川においては、弘法川橋より上流約100メートルの護岸工事が完成をし、引き続き上流に向けて工事を継続していただくことになっております。また、由良川水系大谷川総合流域防災事業におきましては、各地域で用地境界立ち会いが実施され進行しておりますことに感謝を申し上げます。  ふだんは、何でこの川がと思う川でありますが、一旦、豪雨となりますと、駐屯地演習場や長田野工業団地など上流からの流量と、由良川から逆流してくる濁流で前田地区、土地区、石原地区、興地区など、広範囲において浸水被害が発生をいたします。  弘法川、法川におきましては市街地でありますので交通量も多い地域であります。河川工事に伴う用地買収や物件移転補償などの問題があります。また、大谷川においても用地買収や由良川本川の緊急治水事業との調整があります。このような状況も踏まえ、これら事業の現状と今後の事業進捗についての見込みをお伺いいたします。何分にも、市民の安心・安全を確保するために今後の積極的な事業展開をお願いいたします。  次にお伺いいたしますのは、福知山市における「知の拠点」についてであります。  この「知の拠点」づくりにつきましては昨年12月議会で伺っておりますが、昨年12月時点と今回は状況も大きく変わってきております。と申しますのは、ことし3月に実施されました福知山公立大学志願者を都道府県別に見ますと、北は北海道から南は沖縄県まで926名の志願者があり、なかったのは埼玉県1県のみでありました。合格者は222名で47都道府県のうち合格者がなかったのは9県であります。全国公立大学の倍率から比較しますと上位にランクされるほどの競争率でありました。  現在、京都北部・北近畿唯一の4年制大学として平成28年度に定員50名で開学し、ことしは定員を120名に増加させ、1年生146名が入学をして地域と連携しながら勉学に励んでおります。ことしの入学生の答辞を聞いておりますと、「福知山公立大学の基本理念である『地域に根ざし、世界を視野に活躍できる高度な知識及び技能を有する人材を育成し、北近畿地域をはじめとする地域における持続可能な社会の形成に寄与することを目的とする』、この理念のとおり私は、日本の各地域が疲弊している中で、卒業後は地域社会の中で力を発揮したい」と語られた姿に感銘を受けました。また、公立大学に隣接した場所の京都工芸繊維大学福知山キャンパスでは、平成30年秋から本格的な学生の受け入れが始まります。  このような状況の中で、国で「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づき、地方を担う多様な人材を育成確保し、東京一極集中の是正に資するよう平成29年2月に「地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議」が設置され、地方大学の振興や地方における雇用創出、若者の就業支援などに関して、緊急かつ抜本的な対策について検討が進められており、本年5月に、地方創生に資する大学改革に向けた中間報告が取りまとめられたところであります。中間報告では、今後の取り組みの方向性として、地方大学の振興、東京における大学の新設・増設の抑制、東京における大学の地方移転の促進、地方における雇用創出及び若者の就職の促進について提言されております。またその中で地方大学は、地方創生の拠点的存在として位置づけられ、地方公共団体、地域の産業界、金融機関などとの連携を深めることで、地域を担う多様な人材の育成や地域の中核的な産業の振興等に貢献することが期待されているところであり、地方大学の振興が「まち・ひと・しごと」創生の実現に欠かせないものと改めて明記されているところであります。  福知山市においても人口減少や産業衰退が進む中、両大学は地域創生の核となるものと考えておりますし、府北部の高校生の選択肢拡大はもとより、京都府北部の振興に向けた大学の存在意義、果たす役割や期待する効果などを総合的に勘案し、両大学を京都府北部地域の「知の拠点」とすることが府の未来にとっても大変重要なことだと考えております。  そこで、産学官の連携強化、人材育成の推進に向けて、府として具体的にどのような取り組みをしていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  一旦ここで、よろしくお願いします。 33: ◯議長村田正治君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 34: ◯知事山田啓二君) 井上議員の御質問にお答えいたします。  森林保全整備についてでありますけれども、豊かな森を育てる府民税は地球温暖化の進行や豪雨災害が多発する中で、土砂災害防止など森林の多面的な機能を発揮させるために従来からの取り組みに加えまして、森林整備と森林資源の循環利用を加速させるために新たな財源として議会の同意を得、平成28年4月に導入させていただきました。府と市町村が両輪となって事業を展開するため、現状において財源のない市町村に対し半分交付するとともに、森林面積や人口等で配分する基本枠に加えプロジェクト枠を設けて、積極的に事業の展開を促したところであります。  この新たな税を活用し、平成28年度には約80ヘクタールの里山整備や木のぬくもりを伝える府内産木材の利活用など、京都府で新規に9事業、市町村で71事業の合計80事業を府内各地で実施したところであります。特に災害予防という観点では、近年、流木を要因の一つとする大きな災害が発生しているものの、流木対策は既存事業では治山施設の設置に付随して行う必要がありますので、年6から7カ所程度にとどまっていたんですけれども、地域住民が主体となって実施する危険木の撤去や森林整備など、流木対策単独の取り組みも支援することとし、福知山市内を初め、府内45カ所で取り組みを展開いたしました。さらに市町村交付金を活用した取り組みでは、林道がないなど林業経営として条件不利な山林での間伐木の搬出支援による流木発生対策ですとか、根が浅く山腹崩壊が起きやすいと昨今問題になっている放置竹林の整備などを行ったところであります。  こうした新たな取り組みを通じまして、税の導入目的である森林の多面的機能の維持・増進が図られたことはもちろんのこと、地域が主体となって取り組みを支援し、府民と協働で減災対策に取り組むことで、住民の減災対策に対する意識の向上ですとか、治山ダムの整備など既存の治山事業ではカバーし切れないきめ細かな事業展開などから地域の安心・安全が実現できていると評価をしているところであります。  現在、国におきましては、森林整備の財源として森林環境税の導入に当たって都道府県と市町村の役割分担が議論されているところであります。その中で森林整備が一層加速するように、これからも国や市町村としっかりとした連携をして取り組みを進めてまいりたいと考えているところであります。  次に、水源地域の保全についてでありますが、御指摘のように森林には、水を蓄え、これを浄化する水源涵養機能があります。そして、この機能を維持していくために私どもは、保安林適正整備事業ですとかモデルフォレスト運動などにより機能発揮に取り組んできたわけであります。さらに、全国育樹祭や豊かな森を育てる府民税を契機に、大分、府民理解も広がっているというふうに考えております。特に京都の場合、森林から生み出される水というのは、軟水で和食のだしや、やわらかい豆腐づくりに適しておりまして、例えば京都の有名な料亭では、だしをとるために京都の水を毎日東京まで運んでいるというような話も聞いております。水は命の源でありますけれども、京都におきましては京料理や京都の伝統産業を支えてきたかけがえのない財産であり、文化の基盤であると思っております。こうした府の財産とも言える水を将来にわたって守っていくことがやっぱり必要ではないかなというふうに考えておりまして、そして、それによって財産としてもさらに価値を高めていく必要もあるというふうに考えております。  このため、水源地域や水の保全のあり方について、一定の規制もこれから必要ではないかと考えており、条例化も視野に専門家も交えた検討会議を設け、本格的に議論をしてまいりたいと考えているところであります。  次に、由良川流域の総合的な治水対策についてでありますが、平成26年8月の豪雨で福知山市の市街地の約3,300戸の浸水被害が発生したことを受け、平成27年度から国、府、市の3者の連携によりまして、この地域の総合的な治水対策を進めてまいりました。このうち京都府が実施している弘法川の河川改修については約1.4キロメートルの河道拡幅のうち400メートルの工事を進めており、今年度は河道拡幅を引き続き行いますとともに、由良川合流点付近の調整池の用地買収を行い、来年度からは由良川への排水ポンプ整備に着手する予定であります。  法川では、既に法川橋の改築が完了いたしまして、引き続き、約800メートルの河道拡幅を進めますとともに、今年度、最下流部の京口橋改築にも着手をすることにしております。  また、国は排水機場の増強等を行い、福知山市も内水の排水ポンプや貯留施設の整備を進めているところでありまして、今後も国、市と連携をし、おおむね5年間で平成26年8月と同等の降雨による床上浸水被害をおおむね解消するという整備目標の一日も早い達成に向け、取り組んでまいりたいと思います。  大谷川につきましては、平成25年9月の台風18号で由良川の氾濫により浸水被害が発生したために、平成27年度から国の由良川の築堤と連携し、由良川合流部からJR橋梁までの約2.8キロメートルの改修を優先して進めておりますけれども、用地買収が完了した区間から河道掘削や堤防整備を実施していく予定であります。用地買収はこれからという状況でございますので、ぜひとも地元の協力も心からお願いを申し上げたいと思います。  次に、府北部地域の「知の拠点」でありますけれども、地方大学というのは地方を担う多様な人材の育成と研究を通じて産業やまちづくりの振興等、非常に大きな役割を担っていると思います。京都府におきましては、両大学が地域の知の拠点として活動できるように地域創生戦略に位置づけ、環境整備に努めてきたところでありまして、福知山公立大学につきましては福知山市と連携し、国の地方創生事業も活用して、大学における北近畿地域連携センターの設置等に対し支援を行いますとともに、大学の理念でもあります地域のための大学実現のための支援として、学生が地域をフィールドとして学び、地域に貢献する人材を育成する「1(ひと)まち1(ひと)キャンパス事業」で、福知山市や舞鶴市、与謝野町での学生の地域活動を支援しているところであります。  京都工芸繊維大学に対しましては、文科省の「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」において、理工系人材の育成に向けた教育プログラムの開発や企業でのインターンシップを行いますとともに、学生の地元定着10%増に向け、地元企業の魅力発信の取り組みを進めるため、京都工業界や地元商工会議所とともに連携して支援をしているところであります。その上で、今後整備いたします北部産業創造センター(仮称)におきましても、工芸繊維大学と連携することにしておりまして、産学公がうまくこの北部地域で連携をすることによって産業人材の育成と同時に新しい産業の創出等にも取り組んでいきたいと思っております。  さらに、こうした取り組みが進むよう昨年11月、地方創生に資する人材育成確保等に関する緊急決議を採択し、国に地方大学振興のための抜本対策を要請いたしました。5月に取りまとめられました国の地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議の中間報告では、東京23区の定員の抑制とともに、地方大学が自治体と連携し、地方創生の視点に立った振興計画を実施する場合の新たな財政制度の創設について、そこに記載をしていただいたところでありまして、こうしたことが今後実現に向かって進むように我々としても努力をし、まさに地方創生の観点から北部の「知の拠点」が応援できるような体制を整えていきたいというふうに考えているところであります。 35: ◯議長村田正治君) 井上重典君。    〔井上重典君登壇〕 36: ◯井上重典君 御答弁ありがとうございました。時間的にも迫っていますけれど、何分、福知山市は災害を3回、私は家屋浸水を3回経験しております。被害に遭えば家屋は本当に床が腐ってくるという大変なことになります。ひとつ前向きに、積極的によろしくお願い申し上げます。  それでは次に、働き方改革についてお伺いいたします。  政府においては、我が国の経済成長の隘路の根本には、少子高齢化、生産年齢人口減少、すなわち人口問題という構造的な問題、そしてイノベーションの欠如による生産性向上の低迷、革新的技術への投資不足があるとの課題認識のもと、働き方改革を日本経済の再生に向けた最大のチャレンジ、最重要課題として捉え、安倍内閣総理大臣を議長とし、働き方改革実現会議が平成28年9月に設置され、本年3月には働き方改革実行計画が取りまとめられたところであります。この計画を踏まえ、政府においては今後10年間の実行計画としてロードマップを設定し、ニッポン一億総活躍プランとも連携しながら強力に施策が推進されていくこととなります。  一方、京都府においても、働き方改革への取り組みとして京都労働経済活力会議では、オール京都で働く人を大切にする企業を支援する京都ならではの働き方改革を進めることとしており、人材確保、定着と正規雇用化や、女性、若者、高齢者等、あらゆる人が輝ける社会の実現のための施策に取り組むこととされており、その中でも一億総活躍の中核である女性が社会で個性と能力を発揮できるようにするための取り組みとして、誰もが働きやすい職場環境の整備を推進するため、マザーズジョブカフェやウィメンズベースを開設し、支援しているところであります。  しかしながら、長時間労働により仕事と家庭生活の両立が難しいなど、女性活躍を阻む要因は残っており、こういった問題を解決することが多様なキャリアやライフスタイルの形成を可能にし、職業生活における充実感ややりがいにつながると考えられます。昨年4月には、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律が完全施行され、京都府、京都市、京都労働局、京都商工会議所など経済団体から成る輝く女性応援京都会議では、中小企業における働き方改革を進め、女性が活躍できる環境づくりに取り組んでおられます。  例えば、私の地元福知山市においても、女性が長く活躍できる職場づくりを目指して30年近くも前から女性の働きやすい環境づくりに努めておられる企業があります。そこでは育児中の女性にとって学校行事や急な子どもの病気などのときに有給休暇利用を柔軟に対応するなど、大変好評で女性社員の定着率向上に寄与しているとのことであります。今後は女性のさらなる活躍の場を提供するためにも、女性管理職の登用を進めるための環境整備に積極的に取り組もうとしておられるとのことですが、比較的規模の大きい企業においても女性活躍の取り組みは始まったばかりのところが多く、こういった働きを一層促進させる取り組みが、今、必要ではないかと思われます。  そこで知事にお伺いします。  京都府においては、さきに述べた輝く女性応援京都会議によって、昨年8月に全国初の女性活躍支援拠点「京都ウィメンズベース」を開設し、女性活躍とワーク・ライフ・バランスの推進を図ってこられたところですが、企業などの取り組みに対してどのような支援を行い、どのような成果が出たのか。また、今後どのような取り組みを行おうとされているのか、お伺いいたします。  一方、京都府庁においても、女性の活躍促進については、平成28年4月に女性活躍推進法に基づく特定事業主行動計画を策定されるなど、これまでから働き方改革に沿った取り組みを進められてきたところですが、少子高齢化や高度情報化、厳しい経済情勢や格差の存在など、さまざまな社会情勢の変化に伴う新たな課題への対応が今後ますます求められる中にあっては、それに見合った形での業務削減やプロセスの簡素化などが必要なのではないかと考えます。民間企業においては、労働生産性の向上を図るため、ロボットによる業務自動化の取り組みを進めるところがふえてきております。国の働き方改革実行計画を踏まえ、京都府庁においてもこうした職員の生産性を高めるための取り組みを進める必要があると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、交通事故関連について、自転車保険等の加入義務化についてお伺いいたします。  自転車は、子どもからお年寄りまで手軽に乗ることができ、通勤や通学はもちろん、日常生活の中で便利な移動手段として多くの府民に大いに活用されているところであります。現代は車社会として未曽有の発展を遂げた反面、窒素酸化物等の環境に有害な物質や騒音、振動を発生させるという環境面ではさまざまな問題も発生しております。一方で、自転車は環境にやさしい乗り物として、また災害発生の際の迅速な移動手段としても有用性が確認されております。こうした中、自転車の利用を増進し、自動車への依存の程度を低減することは、国民の健康の増進及び交通の混雑の緩和による経済的社会効果など、公共の利益を考えますとき、一層促進させるべきと言えます。しかしながら、自転車の利用が進む一方で、歩道を猛スピードで歩行者の近くを疾走したり、交差点で飛び出してきたりするなど、自転車利用者の交通ルールの軽視やマナーの悪さには目に余るものがあります。交通事故の件数は年々大きく減少しており、自転車が関係する事故も、発生件数は減少しているものの交通事故件数全体の約2割を占めるなど高い水準となっており、自転車側に責任のある事故や自転車と歩行者の交通事故の割合もやや増加傾向にあります。  さかのぼること10年前、京都府は全国に先駆けて、平成19年に京都府自転車の安全な促進に関する条例を制定するなど、問題意識を持って自転車の安全利用促進に取り組み、とりわけ自転車利用者の自転車保険への加入については努力義務とし、保険加入の促進に努めてこられました結果、加入率は6割に至っております。しかし最近では、平成25年に兵庫県で小学校5年生が乗る自転車が高齢女性と衝突し、1億円近い賠償を求められるといった高額な賠償事例が発生しており、このほかにも自転車事故による高額賠償事例が発生しているところであります。このように高額な賠償事例が発生する中で、一昨年から昨年にかけて、兵庫県、滋賀県、大阪府で自転車保険加入を義務化する条例が制定され、本年には京都市が保険加入を義務化するべく条例を改正されたところであり、こうした動きを踏まえて、府においても保険加入を義務化するための条例改正案が提出されたものと考えております。私も、万一の事故に備えて自転車保険の加入を義務化する必要性は高いと思いますし、どんな保険が必要かなどに意識を持って家族や職場で話し合ったりすることは自転車の安全な利用に直結する極めて重要なことだと感じております。  そこで、お尋ねいたします。  自転車の保険加入を条例で義務づける以上、保険加入率100%を目指すべきであるが、罰則がない中で、保険加入をどのように推進しようとしておられるのか、その具体的な取り組みについてお伺いいたします。  また、自転車保険等の加入義務化と並行して、今後、どのように自転車の安全利用促進の取り組みを進めようとしておられるのか、あわせてお伺いいたします。  次に、文化財の保存・活用についてであります。  まず、文化財の保護について教育長にお伺いいたします。京都府には多くの文化財が存在しており、社寺や城などの重要文化財建造物は648棟、うち国宝は72棟で、いずれも全国一であり、仏像などの彫刻や絵画などを合わせると、有形文化財だけで3,161件を数えます。これらの文化財は長い歴史の中で生まれ、育まれ、今日まで守り伝えられてきた貴重な国民的財産であり、これらを後世に守り伝えることは現代に生きる我々の責務であります。ところが、一昨年の春に東寺や清水寺を初め、全国各地の社寺や城などの国宝や重要文化財建造物に油のような液体をまかれる事件が発生いたしました。また、ことしの4月にも同様の事件が発生し、文化庁長官から各都道府県教育委員会に対して、防犯対策の徹底や連絡体制の強化を図るよう依頼されるとともに、警察と連携し事案に対処していくこと、関係団体にも協力いただき再発防止に努めるとのメッセージが出されました。文化庁長官が言われるように、文化財は先人の不断の努力によって保存・継承されてきたものであり、我が国の誇りと伝統の象徴と言っても過言ではなく、このようないたずらでは済まされない悪質な行為から貴重な文化財を守っていかなければなりません。そのためには、文化財所有者や警察との連携、協力を密にして対応する必要があると考えております。こうした悪質な行為から貴重な文化財を守るため、今後、どのように取り組んでいこうとしておられますか。お伺いいたします。  また近年、地震や大雨などの天災が頻発しており、大地震が発生すれば貴重な文化財建造物や美術工芸品などが崩壊や火災による消失の被害に遭うこととなります。例えば、昨年の熊本地震では熊本城が復旧に20年、634億円を要するような大きな被害を受けてしまいました。京都には多くの観光客が文化財である社寺等を訪れることから、建造物そのものを地震による被害から守り、文化財的価値を後世に伝えるとともに、文化財を訪れている方々の安全を確保する観点からも耐震対策は大変重要であります。文化財建造物の耐震対策は、学校施設の耐震対策のように行政が主体となって行うのとは異なり、文化財所有者が国庫補助などを受けて行うこととされているため、その費用負担が大変であり、また耐震補強工事も文化財的な価値が損なわれないように行わなければいけないといった文化財特有の問題があると伺っております。  そこで、お伺いいたします。  まず、京都府内の文化財建造物の耐震化の状況はいかがですか。文化財の耐震化には、先ほど申し上げましたようなさまざまな課題があることも承知しておりますが、文化財建造物の耐震化を進めていくため、今後どのように取り組んでいこうとされていますか。御所見をお聞かせください。  また、昨年の熊本地震でも、地域の核となる社寺や民家、伝統行事にかかわる建物や道具、民俗習慣を伝える資料等の文化財が被害に遭っておりますし、古文書などが火災による焼失や盗難の被害に遭うこともあります。さらには、社寺等の運営を支える檀家や氏子の高齢化や減少により、仏像をやむなく博物館に預けたり売却したりするといったことがあるのではないかと懸念しております。そういった天災や人災、転売や散逸から文化財を守るため、今後どのように取り組んでいこうとされているのか、お伺いいたします。  最後に、近畿唯一の漆の生産地として知られております福知山市夜久野町で生産されておる丹波漆ですが、漆の木から樹液を採取する技術が「丹波の漆かき」として平成3年に府の無形民俗文化財に指定されております。現在の採取量は限られておりますが、文化財としての漆かきの技術の継承のためにも、品質のすぐれた丹波漆をぜひとも文化財修復に活用していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。  続いて、文化財の活用について、知事にお伺いいたします。さて、いよいよ来月は日本三大祭りの一つである祇園祭が行われます。祇園祭は今から1,100年余り前、京の都などで疫病が流行したとき、神泉苑に66本の鉾を立て祇園の神を祭り、災厄の除去を祈る祇園御霊会を行ったのが始まりと伝えられております。祭りのハイライトである山鉾巡行では色鮮やかな懸装品や精緻な装飾品で飾られ、動く美術館とも称されるけんらん豪華な山鉾33基が7月17日の前祭りと24日の後祭りに分かれて都大路をめぐります。昨年は日曜日と重なったこともあり、蒸し暑い時期にもかかわらず、山鉾巡行だけでも国内外から約30万人もの観光客が訪れました。  京都府が昨日発表したところによりますと、平成28年の京都府内の観光入込客数は約8,741万人で過去最高となった昨年の約8,748万人には及ばなかったものの、高水準で維持しております。また、外国人宿泊客数は約326万人で、前年に比べ約4万人増加し、4年連続で過去最高となったとのことです。そして、多くの観光客が訪れるのが、先ほど申し上げた祇園祭などの無形の文化財と社寺などの有形文化財であります。このたび、丹後ちりめん生産地の丹後地域が、「300年を紡ぐ絹が織り成す丹後ちりめん回廊」として日本遺産に認定されました。私は常々、こうした京都府内の有形、無形の文化財をできるだけ多くの方々に見に来ていただき、京都や文化財のファンになり、何度も訪れていただきたいと思っております。そのためには、文化財や文化財に施されたすばらしい技術を見ていただくことに加えて、文化財がつくられた当時の生活文化を知っていただき、体験していただくなど、新たな価値を付加することが大切だと考えております。  例えば、当時の生活や文化、その中で文化財が果たしてきた役割などについて詳しく解説したり、当時の衣装を着てお茶やお花、和歌といった伝統文化、あるいは当時の生活の一端を体験していただくことなどによって、より多くの方々に京都の文化財の魅力が十分理解され、実感していただけると思います。こうした取り組みがさらに広がることを期待しております。  また、海外から訪れる方々のためにも、多言語の案内板の設置、スマートフォンやタブレットが利用できるインターネット環境の整備は必須であり、一層積極的に進めていただきたいと考えております。  こうした取り組みを進めていくためには、行政だけでなく、文化財所有者や民間の事業者などとの連携が重要であることは言うまでもありません。さまざまな方々の協力を得て、国内外のより多くの方々に京都の文化財を見に来ていただき、文化財のファンとして何度も京都を訪れていただけるよう、私が申し上げたような取り組みを含め、どのような取り組みが必要と考えておられますか。知事の御所見をお伺いいたします。  時間がありませんので再登壇はいたしません。これをもって私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 37: ◯議長村田正治君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 38: ◯知事山田啓二君) まず、働き方改革についてでありますけれども、京都ウィメンズベースでは昨年の8月の開設以来、府内企業に対しまして女性活躍推進法に基づき、女性社員の採用や管理職の登用、長時間労働の是正などに関する事項を盛り込んだ一般事業主の行動計画の策定支援に取り組んでまいりました。この結果、計画策定が義務づけられた従業員301人以上の企業はほぼ策定済みとなりましたけれども、まだ義務づけされていない100人から300人の企業は、780社のうち50社程度について策定されたところであります。このため、現在、社労士など専門家から成る女性活躍ワーク・ライフ・バランス企業応援チームによる企業訪問などにより、さらなる計画の策定が進むように支援を強化しているところであります。このほか、女性活躍に係る人材育成研修を16回実施し398名が参加、テレワークでの働きやすい職場づくりを支援する中で2社が国のえるぼし認定を獲得し、累計で5社、「京都モデル」ワーク・ライフ・バランス認証企業は昨年度61社が加わり、累計307社などの成果も見られたところであります。  しかし、女性活躍につきましては、課題としましては、経営層の合意形成が得にくいとか、リーダーとなる女性の従業者が少ないとか、女性受け入れの環境整備にかかる費用の捻出が困難といったような課題もあるため、今年度は、経営トップ、管理職の理解不足や管理職を目指す女性人材の不足という意識の壁、そして女性が働きやすい職場環境が不十分という職場の壁の打破を目指し、取り組みを強化していくことにしております。  まず、意識の壁につきましては、ことし8月に開設いたします女性活躍研修・研究拠点であります京都ウィメンズベースアカデミーで経営者層の意識改革研修の実施や女性社員みずからが女性活躍に係る対策を立案するラボを創設いたしまして、企業において中核的役割を担う人材を養成してまいります。  さらに職場の壁につきましては、女性専用トイレや更衣室の設置など、女性が働きやすい職場環境づくりを進めるための補助制度を拡充したところであり、中小企業における計画の策定を加速化することにより、こうした女性活躍を推進してまいりたいと考えているところであります。  次に、府庁の働き方改革についてでありますけれども、人口減少、少子高齢化が進展する中で、やはり一人一人の生産性の向上という形をとっていかざるを得ないと思っておりまして、これは将来にわたる我が国の発展にとっても喫緊の課題であります。京都府におきましても、これまでから研修機能を強化するとともに、省庁や民間、大学、他府県、市町村との交流をふやし、積極的に若手人材の育成や女性職員の活躍促進に取り組んでまいりました。その中で、私どもは今年度は国の働き方改革実行計画も踏まえ、庁内に働き方改革プロジェクトチームを設置し、会議の効率化、それから時間外勤務手当の前年比10%の削減を目指した取り組み等を今進めているところであります。今後は、やはり女性活躍という点では、府庁におけるテレワークの導入のような新しい働き方のあり方も考えていかなければならないと思いますし、また御指摘がありましたようにICT技術を活用した業務改革についても取り組んでいかなければならないと思います。その面におきましては、電子決裁とか総務事務のシステム導入を行ってまいりましたけれども、今はまた、農業改良普及業務や企業誘致業務などに従事する職員にはタブレットを携行させて、現場でのわかりやすい説明に迅速な情報共有を盛り込むという形で業務の効率化を進めてまいりました。これも答弁してまいりましたけれども、今後これらに加えまして、各種統計データの集計、加工などについて、これをデータベース化していく中で、例えばAIを活用して業務の自動化、特に府民の皆さんからの質問に対する応答とか、こうした点ではAIは非常にいい働きをするかもしれないと思っていますし、効率化を図るロボティック・プロセス・オートメーションの活用性の検討を行っているところであります。  今後とも、府庁と地域間との役割分担ですとか、それに基づく人員配置のあり方も含め、年度途中に柔軟な職員の再配置や職員間の応援協力体制の構築等にも取り組みまして、職員の生産性向上と時間外勤務の縮減に努めてまいりたいと考えております。  次に、自転車保険の加入義務化についてでありますけれども、御指摘がありましたように、これまで京都府では、条例に基づきまして努力義務として保険の加入を促進してまいりました。これで保険の加入者は約6割でありますので、義務化したところに比べても遜色のない形には今もなっていると思うんですけれども、さらに私どもといたしましては、自転車側に責任のある事故の割合が増加傾向にあり、最近では本当に1億円近い賠償額の事例も見受けられますので、これは被害者救済だけではなく加害者の生活も考えれば、低年齢化もありますし高齢者の事故も多いわけでありますので、もう一度、保険加入の一層の促進を図るという観点から義務化に踏み切ったところであります。  この義務違反に罰則は設けていないんですけれども、自転車購入時や修理・整備の際には自転車販売店が、また通勤・通学で自転車を利用する者には学校や事業者が保険加入を確認することを努力義務としておりまして、さらに自動車保険などの更新時に個人賠償保険の附帯を確認、推奨いただくような、要は保険業団体にも要請をしていくという形で、今まで以上に強力に、この義務化を前提とした啓発に取り組んでいきたいと思っております。  さらに府民に対しましては、府民だより、ポスター、リーフレットなどによる広報啓発、そして事業者、学校に対しましては各業界団体や市町村の教育委員会などにも足を運び、これを説明し、理解を得ていきたいと思いますし、府市協調で運営するコールセンターにおきましても、既に加入している保険に自転車事故の賠償に対応しているものが附帯されているかどうかの確認を促すなど、保険情報をしっかりと提供して加入の促進を図ってまいりたいと思っております。  また、自転車の安全利用の促進につきましては、これも交通ルールやマナーを無視した危険な走行が非常に数多く見受けられる現状がありますので、特に若い世代と高齢者に事故が多いわけでありますので、中高生向けにはスケアード・ストレイト、これはスタントマンが実際に事故現場を再現して、こんなに危ないものだよというのを見せるものでありますけれども、こうしたものを用いた安全教室の実施ですとか、高齢者向けには、やっぱり府民協働防犯ステーションにおいて安全指導を行うと。また、これまで育成した自転車安全利用推進員の中から指導員を養成いたしまして各地の安全教室に派遣するなどの取り組みを強化して、自転車利用に対するルールの徹底とマナーの向上に取り組んでまいりたいと考えているところであります。  次に、文化財の活用についてでありますけれども、さきの国会で、先ほど述べましたように文化芸術振興基本法の一部を改正する法律が成立をいたしました。府や京都文化芸術会議から提言してまいりました文化芸術や観光まちづくりと産業との有機的な連携を図ることが盛り込まれたところでありまして、文化財の保存だけでなく、より多くの人たちに鑑賞してもらう、そしてさらに体験してもらうという形で、活用面に光が当たったと思っているところであります。こうした活用につきましては、今申しましたように、説明をして見ていただくということと、実際、文化を自分で体験していただくというようなやり方が活用の方策としてはあると思います。御指摘のような多言語案内やインターネットにつきましては、この鑑賞・説明型になりますけれども、多言語対応環境整備補助金等によりましてアクセスポイントの設置などのWi-Fi環境整備や翻訳システム導入タブレット端末などの多言語対応環境整備の設備を支援しているところでありますし、その上で鑑賞、説明については、今、御指摘がありましたように、その背景をもっとわかるようにしろということでありますけれども、確かにその文化を理解していくためには、背景がわからないとなかなか理解が進まないということでありまして、実は昨年10月のスポーツ・文化・ワールド・フォーラムにおきましては、二条城を全般的に会場にしたわけでありますけれども、そのときは約400年前の後水尾天皇の行幸を再現をする。さらには、立花や蹴鞠の実演、饗宴を記した献立表の展示なども行って、私が見ていて、特にこれはいいなと思いましたのは、当時の明るさの再現をしていた、照明を当時の明るさで再現をしていく、こういう形で二条城の見方というものを新しい角度から展開する、こういう形で範囲を広げるというのは、これからのあり方として私は非常に有効ではないかなと思っております。  そして、最近ではさらに一歩進んだ体験型が人気でありまして、これは京都・花灯路ですとか七夕、寺院での朝粥・座禅体験、寺社でのヨガや聞香、陶芸やお香体験など、さまざまなものがありますし、最近では新しい体験方式としましては、京都市の羅城門や長岡京について、当時の姿をバーチャルリアリティでコンピューターグラフィックスによってスマートフォンで再現できると。それによって、ないところにあるものが見えるという形の中でのバーチャル型の体験というものも人気が高いというふうに思います。こうしたことを受けて、府といたしましても、例えば京都学・歴彩館では国宝東寺百合文書などの古文書の文字を使った名刺づくりですとか、古文書で使われた紙の原料や加工技術を学ぶ講座ですとか、京都文化博物館におきましても、祇園祭の山鉾懸装品等の展示、金太鼓等のおはやし体験ですとか、洛中洛外図屏風に描かれました三条通りのかいわいを歩く探検体験などの文化財を鑑賞するだけではなくて、文化財を通じた地域の歴史文化に入り込んでいくというような形の活用というものをさらに進めていきたいというふうに考えております。  同時に、例えば御指摘にありましたようなちりめん回廊とか関西広域連合で取り組んできた人形浄瑠璃などを対象とした「文化の道」事業のように、個々の文化財をストーリーを持ってつなぎ合わせていくことによって周遊性を持たせていくような、そういう取り組みを進めるという形で、いろいろな形で文化財をしっかりと活用し、体験できる取り組みを進めていけたらなというふうに考えているところであります。 39: ◯議長村田正治君) 橋本教育長。    〔教育長橋本幸三君登壇〕 40: ◯教育長橋本幸三君) 井上議員の御質問にお答えいたします。  文化財の保護についてでありますが、貴重な文化財を未来に継承する上で、犯罪行為や自然災害、また転売や散逸といったさまざまなリスクを想定し、それぞれの課題に応じた対応や対策を講じていくことが必要であります。油状の液体をかけるなどの悪質な行為につきましては、先日も府が委嘱しております文化財保護指導委員に対する研修会を実施しまして、見回り監視のポイントなどを丁寧に説明し監視の強化を徹底したほか、所有者に対しましては、警察と連携をし、その助言もいただきながら日常的な巡視の強化や防犯カメラなどの防犯設備の設置についてお願いをしており、こうした防犯的な取り組みをさらに強化してまいります。  また、文化財建造物の耐震対策につきましては、補強を目立たせないようにするため、どうしても解体を伴う大規模な修理に合わせて実施するという場合が多いことから、耐震化率につきましては2割程度となっております。  府教育委員会では、本年度、防災資機材の補助制度の拡充を図ったところでありますが、防犯設備の設置や耐震対策を一層推進していくためには、文化財所有者の費用負担の軽減が重要であると考えておりまして、引き続き国に対し財政支援の充実を強く求めてまいります。  また、文化財の転売や散逸防止についてでありますが、指定や登録をされている文化財にあっては文化財所有者に適切な管理を義務づけておりますが、指定等をされていない文化財にあってはこうした規制が及ばないため、その対策が課題となっていたところです。そこで、今年度から府独自の暫定登録文化財制度を創設したところであり、今後、指定等をされていない文化財を幅広く登録することにより、所有者に適切な管理を求めるとともに、その管理や修理に対して補助を行ってまいります。  府教育委員会といたしましては、これらの取り組みを通じまして文化財所有者の理解と協力を得ながら、防犯・防災などの対策が一層促進されるよう努めてまいりたいと考えております。  次に、丹波漆の活用についてでありますが、丹波漆は年間生産量が数キロ程度と少量ではあるものの品質が非常に高いことから、昨年度、国宝知恩院本堂の漆工事の一部に使用したところでございます。地元では丹波漆の伝統技術を継承するためNPO法人を組織され、農林水産部の支援を得ながら生産量の増加に取り組まれているところであり、今後とも、品質の高い丹波漆が府内の文化財修復に活用されるよう、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。            ──────────────────── 41: ◯議長村田正治君) 以上で本日の日程は終了いたしました。明6月23日午後1時15分から本会議を開きますので、御参集願います。
     本日はこれをもって散会いたします。    午後4時42分 散会 発言が指定されていません。 ↑ ページの先頭へ...